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俺以外誰もいない。
よく見ればカーテンもないし、ただ真っ白な空間が広がっているだけだ。
声の主であろう看護婦さんもいない。
俺は混乱しながらも、胸に淡い期待を抱き始めていた。
「こっちです。橘 蒼太さん。」
また女性の声が聞こえ、反対を向くと、白い羽に金の髪、真っ白なワンピースを着た今まで見たこともないような綺麗な女性が立っていた。
「か、看護婦さん…?」
まだこれが異世界転生とは限らない。
俺は慎重に言葉を選びながら、女性に問いかけた。言葉を選んだ結果がこれだ。
「いいえ。あなたの期待通り、『女神』です。」
その女性は優雅な笑顔でそう答えた。
「き、き、き、きたーーー!!!」
俺は夢にまで見たこの光景に、思いっきり叫んだ。遂に異世界転生したんだ!
ありがとう神さま!いや、女神さま!!
俺はドキドキしながら、女神さまに話しかけた。
「俺、異世界転生したんですね!?」