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平凡な日常を一瞬で変えてくれる「異世界転生」。
そんな事が自分の身にも起きてくれたら…。
チートは貰うだろ?クローゼット?みたいな空間に荷物を仕舞える能力も必須だよな。
もちろん見た目も良くしてもらって、パーティーはお色気担当、癒し担当、お姉さん担当、もふもふ担当…。ハーレムも必須だな。
朝からそんな事を考えながら、今日も満員電車で会社に向かう。
そんな事起きるわけないと分かっていながらも、この平凡な日常から抜け出したくて頭の中で妄想を広げていく。
異世界転生ものの小説や漫画が多くなっているって事は、そう考えている人がたくさんいるって事だ。
自分の理想を形にしてくれて、主人公に自分を重ねて現実から離れる…。
うん、これで今日も一日頑張れる。
仕事終わったら昨日読み始めた小説の続きを読もう。
ちなみにそれも異世界転生ものだ。
満員電車から降り、人混みに流されながら改札へと向かう。
今日も人が多いな…。
無事に降りられたことにホッとしながら階段を上っていると、携帯が短くなった。
お、小説の更新通知か?
ポケットの携帯を取り出して見てみると、案の定更新通知だった。
タイトルを確認しようと通知をタッチする。
…ん?こんな小説読んでたっけ?
見覚えのない画面に不思議がっていた時だった。
どんっ!!
階段を降りてくる人と肩がぶつかった。