表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/71

オースティン・ロックウェル

ロイが会う度に彼女のことを自慢する。

美しく、聡明で、優しい。

それ以外にも色々あったが、もう忘れてしまった。

ロイには婚約者好捕は山ほどいるだろうに、何故ここまで彼女に入れ込んでいるのか不思議だった。


だから、彼女に会いたくなるのは当然だと思う。


俺は、ヒューゴを誘い、ロイに「来るな」と言われた日に王宮に行った。ロイが俺たちを王宮に寄せ付けない日は大抵彼女が来る日だと、王宮の侍女から言質をとってある。


温室で待っていると、美しい少女が入ってきた。話してみれば賢いこともわかったし、気遣いも出来ることもわかった。


でも、俺は彼女が気に入らなかった。


つまらない女。


彼女が王妃になったら国は益々繁栄するだろう。


彼女は王妃になるための器だが、行動全てが模範解答であって、模範解答に過ぎなかった。自分の気持ちや考えはどこにも入っておらず、この立場の者ならば、こう話すだろう、という台本を読んでいるように思えた。


俺は面白いやつが好きで、ロイもヒューゴもその条件を十分に満たす存在だった。しかし、彼女の行動は全てが想定の範囲内。俺はお茶会をはじめて早々に、彼女に見切りをつけた。


しばらく退屈なお茶会を過ごしていると、どこからか女の子の怒鳴り声が聞こえた。王宮で怒鳴り声をあげられる女の子なんて、王女のイラーリしかいない。


俺は内心ほくそ笑んだ。


王女のイラーリはトラブルメーカーで有名だったのだ。この権力だけはあるトラブルメーカーを前にして、模範少女は、どんな対応をするのだろうか?


期待に満ちて彼女を見つめていた。しかし、つまらないことに、彼女は罵倒されても、声を荒らげなかった。


イラーリが出ていったら、俺も出ていこうかな、なんて考えていた時。イラーリが紅茶をかけた。彼女の護衛に。


たちまち彼女は怒り、王女を言い負かした。


王女に何か物申せる者など、王家の人間くらいだと思っていた。誰でも我が身が可愛い。

でも、彼女は怒った。護衛である彼の為に。


俺は前言撤回しよう。





彼女は面白い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ