告白
あの時。
私は、セリーヌにずっと一人でいて欲しくない。
また、誰かと同じ時を過ごして欲しい。
そう思っていた。
でも、それは、本心じゃなかった。今なら認められる。
だって私は、セリーヌに伝えなかったもの。
『永遠に私たちが共に居られない理由』を。
ただ別れを告げただけ。
私は再びセリーヌが誰かと愛し合うことに嫉妬したんだ。
私は、セリーヌを見つめる。2回も言われた拒絶の言葉に、セリーヌはたじろいでいた。
1度目は、何も伝えられなかったから。
今度は、ありのままを話そう。
たとえ、セリーヌが私を許してくれなくても。
私は微笑みを深くする。慈しむような瞳で、セリーヌを見つめる。
「私と貴方は永遠に一緒にいることは出来ない。神の禁忌を犯したものは記憶をなくし、他の世界の管理者となるから。私がルーシーだった時、貴方じゃない、違う世界の神様に聞いたのよ。でも、私はその事を貴方に告げずに死んでしまった。だって、貴方が他の人と愛し合ってしまうことに嫉妬したから。もし貴方が再び永遠の命を授けようとして、授けてしまったとしても、貴方とその人は永遠に共には居られない。私って、かなり嫉妬深いみたいね。」
セリーヌは驚きを隠せないでいる。
「ごめんなさい。本当のことを何も告げずに去ってしまって。
私は貴方を愛していました。本当に、本当に。」
私が愛の告白をする日が来るなんて、思ってもみなかった。
前世から、人を愛することが何なのか知らずに生きてきた。だからこそ、人の悪意に晒される度、怖かった。何故人はそこまで愛せるのだろう。憎めるのだろう。不思議で、不思議で。
でも、今ならわかる。有難う、愛することを思い出させてくれて。
「私は、今、好きな人がいるの。」
3回も生きてきて、やっとの初恋。つい、笑ってしまう。
セリーヌとは、お互いに友達のようなものだったのだ。愛だったけれど、恋ではない。友情だったんだと、気がついた。
女の子の友情には不思議なものがある。独占欲だ。それを恋だと勘違いしてしまった。
だって、今心の中にあるこの感情は、愛よりも、切なくて優しい。
美しい友人は微笑んだ。
「おめでとう、ルーシー。これからも、私と会ってくれるかい?」
「ええ。惚気を聞いてもらおうかしら。」
私も微笑む。




