誕生日
セリーヌの話をじっと聞いていた。
それを聞くだけで、セリーヌがどれほどルーシーを愛していたのかが分かった。
それに、ルーシーがどれほどセリーヌを愛していたのかも。
本当に、好きだったんだ。私とは、違う。
「エラ、私と一緒に生きてくれ。」
セリーヌが手を伸ばす。
私は、その手を、取れない。
「私は、ルーシーじゃないわ。エラなのよ。ルーシーであった記憶はないの。」
それは、事実だから。
ふっと微笑むセリーヌは、とても人間味を帯びている。
「記憶はじきに戻るよ。」
戻る?
「どういうことなの?!」
「私は、ルーシーの魂に、魔法をかけた。もし、この世界に帰ってきたら、16の歳までに、私のことを思い出すように。」
言っそう笑みを深める。とても、愛おしそうに。
「今日は、君の誕生日だろう?」
嗚呼。だから。
今日はこんなにも頭が痛い。
「あと、1時間もないね。」
突如、視界が歪む。
「う゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!」
脳みそを潰されるような感覚。痛さでどうにかなりそうだわ。でも、延々と続く。
頭を抑え、その場にしゃがみこむ。目をぎゅっと閉じて、痛みが過ぎ去るのを待つ。
次の瞬間、痛みはひいた。
目を開ける。
そこにはかつて、私が愛した人がいた。




