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昔話 6
それから私達は、毎夜会って、その日起きたことを語り合い、沢山のことを教わった。
とても穏やかで、愛すべき日々だったよ。
あの輝かしい毎日がいつまでも続くものだと、そう信じていた。
しかし、その幸福も永くは続かなかった。
彼女が病を患ったから。
「ごめんなさい、ごめんなさい。ずっと貴方と一緒にいると言ったのに。本当にごめんなさい。」
泣きじゃくり、私に謝り続けるルーシー。
彼女が患ったのは、不治の病と呼ばれる類のもので、そのときの技術では、治すことなんてできなかった。
彼女を見て、私が『死』を知ってはいても、理解などしていなかったのだと気がついた。
『死』とは、魂がその世界に居られる期限が切れたことを意味する。どこかの世界でその魂の『死』が起きた時は他の世界で『生』を受ける。
魂は神々の創った世界を循環しているのだ。
魂は神でさえ作ることが出来ない。
だから神が、魂に干渉することは禁忌となっている。
でも、それでも。
「ねぇ、ルーシー?君に、永遠の命を与えようか?」
私は彼女と生きたかった。




