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昔話 5
「神様って、他にもいるの?」
ルーシーは尋ねる。
「私のようなものはたくさんいるよ。他の『神様』は他の世界を作っている。」
「どうして?」
「『神様』はそれぞれ、創造するんだよ。『神様』となった時にひとつ世界が与えられるからね。私はこの世界を与えられ、君たちをつくった。そして、それを眺めている。退屈だからね。」
「退屈なの?全知全能の神様なのに?」
「全知全能だからこそだ。全てを知り、全てが可能となるならば、希望も喜びも、絶望も悲しみもない。」
私は苦笑する。
「そして、私たちには掟がある。それは、魂に干渉しないこと。魂が留まること、留まらないことは『神様』が触れてはならないんだ。」
「だから、私たちを舞台に見立てて眺めていたの?」
ルーシーは少し寂しそうに眉を下げる。
私はルーシーに言い訳のしようもなかった。
「うん。すまない。」
ルーシーはふるふると頭を振る。
「退屈だった?そうよね。これからは、私と一緒にいましょう。」
そう、微笑んだ。




