昔話 4
ルーシーは薄いブルーのドレスに身を包んでやってきた。あの日のルーシーは、月の女神によく似ていたよ。
ローズブロンドの髪は緩く三つ編みに結われて、ハーフアップにされていたし、その深いブルーの瞳は、酷く澄んでいた。
「こんばんは。ルーシー。」
私はルーシーに優しく微笑んだ。彼女との再会がとても嬉しかったから、それを伝えられるように。
「御機嫌よう、セリーヌ。ねぇ!貴方は今日何をして過ごしたの?」
彼女は待ちきれないと言った様子で、希望で満ちた瞳を向けてきた。
「今日は街を歩いたよ。私の色は矢張り珍しいんだね。とても、気味悪がられたから、少し面白かったよ。」
私は聞かれた通り、答える。
すると、セリーヌは眉を顰めた。
「貴方の色はとても美しいのに?」
セリーヌの手が、私の髪に触れる。
「ふふっ。みんな見る目がないのね。私だけがあなたの美しさを知っているわ。」
優しい瞳で慈しむように私の頭を撫でる。
「有難う。」
心からの感謝を述べた。そこまで気にすることだと思っていなかったけれど、ルーシーに褒められるのは何故か心地好い。
「ルーシーは何をしていたんだい?」
するとルーシーは笑った。
「聞いてよ、セリーヌ!私、今日、妖精に会ったの!」
妖精?
「妖精って?」
そんな私の質問に、ルーシーは苦笑する。
「本当に貴方って不思議な人ね。この世界には、妖精がいるのだけれど、その妖精って言うのはね、これくらいのサイズで、人の形をしているのだけれど、羽がついていて、いつも飛んでいるの!」
ルーシーは興奮した様子で話す。
私は、その妖精というものに心当たりがあった。
「それは、彼らか?」
私が指をパチンと鳴らすと、私の使いがやってくる。
「どうしたの?」
「あ!けさのひとだ!」
「このひとすきー」
「なんでふたりいっしょにいるの?」
彼らは各々勝手に話す。
「セリーヌ!貴方、どうやったの?」
ルーシーは、彼らと私を何度も見る。
「だって、彼らは私の使いだから。」
正直に話す。
ルーシーは目を見開いて、
「貴方って神様なの?」
と尋ねてきた。
そのとき私はこの世界で『神様』と呼ばれていることを知った。




