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《閑話》ロイの誓い

ブックマーク登録数が100を超えました!

本当に有難う御座います。

これも偏に読者の皆様のお陰です。

よって、本日は本編と閑話の2話をお送りしたいと思います!


一日に一話ずつ投稿してるので、もう、57話目となりますが、一話が非常に短く、他の小説に比べれば、全体のボリュームも少ないと思います。物足りないと思われる方もいるかもしれません。それでも読んでくださる方がいるのだと思うと、とても嬉しいです。


いつも、ブックマークを有難う御座います!

本当に本当に作者の励みになっています。


これからもエラたちをよろしくお願いします。

小さい頃から、エラ・フォーサイスという女の子がいつも隣にいた。


母も、父も、妹も、エラのことを気に入っていて、きっとエラを手放したりしたら、僕は王宮から追い出されてしまうんだろう。


でも、エラのためならそれくらいいいかな、と思えてしまう。もう、重症だ。それでも、既になってしまったものは仕方ないよね。


最初の出会いをもう、思い出せない。4歳くらいで顔合わせさせられたって言うから、無理もないか。でも、ずっとずっとエラが好きで、嫌いになったことは1度もないってことはわかる。花のように笑う彼女を見て、憎める人なんて居ないだろう。


その、好きが、『愛しさ』に変わったのがいつであるのかは、はっきりと覚えている。




彼女の屋敷を訪ねた。そのとき僕らは12歳だった。


「こんにちは。」


僕が屋敷に入ると、執事が出迎える。


「いらっしゃいませ。お嬢様は、温室にいらっしゃいます。」


エラはよく笑ったり怒ったりするようになっていて、一緒にいて楽しかったから、婚約者として不服は無くて。


「うん。有難う。」


僕は温室に向かった。


エラは温室が好きだった。何故かは知らなかったけど、女の子はお花が好きだ、というイメージがあったから、特に聞きもしなかった。


その日は驚かせようと思って、外で待機しているウィリアムとミアにしーっと言って、静かに中に入った。


中にはエラが何かをノートに記していて、僕は遠くからそれを眺める。


『スローライフ


人と関わらないで生きていくには。

①お金を稼いでおく✔︎

②家を見つける

③この家から出る


やっぱり、③が1番難しい。タイミングを探す。』


エラがページをめくる。


ボソリとエラが呟いた。


「私は、みんなの望む私で居られてるかしら?」


僕は、扉を今閉めたような音を立てた。


ビクリ肩を震わせこちらを振り向くエラ。


「ロイ?」


僕を見つけて微笑む。


そうなんだ。エラは、僕のために、僕が好きな『エラ』でいてくれている。きっとウィリアムのためにも、ミアのためにも、オースティンのためにも、ヒューゴのためにも、彼らの好きな『エラ』で居るんだろう。


哀しかった。


きっと彼女には特別な人なんていない。


人と関わりたくないんだから。


そのとき僕は「失恋」を知った。


「こんにちは。エラ。何してたの?」


「ノートを書いていたのよ。」


そう言って、エラはこちらにノートを見せる。


美しい字で、この国の歴史が綴られている。


「そうなんだ。」


僕はそこで目を見張る。うっすらと前のページの文字が写っている。きっと前のページまでが本物で、このページはカモフラージュなんだろう。


その、文字は。


『ロイといる時が1番楽しい。ロイは私が自然体でいるのを望んでくれているから。有難う、ロイ。』


泣きそうだった。でも、ここで泣く訳にはいかない。


「さぁ、今日は何をしようか?」


エラに微笑みかけて、僕はエラを一生守ることを誓った。

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