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昔話 3

時折、切なげに愛おしげに細められるその美しい目を見る度に胸が酷く痛んだ。


そして。


苦しそうに、でも、幸せそうに語るそのセリーヌが、私はとても羨ましかった。









ルーシーは私に近づいて、私の頬に触れた。その手はとても優しくて、心地良いと感じたよ。


すると、ルーシーは、驚いて言った。


「貴方、瞳が透明だわ。それに、髪も虹色じゃない!」


昔、人に似せて作った容姿だったが、所詮、『似せた』だけだ。人をある程度観察し、美しく作り替えた。だから、驚かれても無理はないのか、と思う。


「貴方って、本当に何者なの?!」


ルーシーが笑いながら尋ねる。だから、私は言った。


「セリーヌだよ。」


と、微笑みながら。私は神なんて言葉を人が作っていたことを知らなかったから、それ以外に答え方を知らなかった。


すると、ルーシーは驚きに目を丸くして、それから、神である私でさえ『美しい』と思えるほどの微笑を称えて言った。


「そうよね。私はただのルーシーで。貴方はただのセリーヌ。それ以外の何者でもないわ!」


そのとき大きな音で鐘がなった。


「ああ!私もう行かなくてはならないの。」


悲しそうにルーシーは言う。


そして、すぐさま表情を変えて、


「ねぇ、セリーヌ。私たち、明日の同じ時間にここで会わない?私あなたのことが気に入ったわ!」


そう、悪戯っぽく笑ったんだ。


私は初めて出会った、ルーシーと言う少女を気に入っていたし、彼女と居る時間を心地好く思っていた。だから、反射的に答えていたよ。


「いいよ」


とね。




その次の日の昼、私は街を歩いてみた。


すると周りから、こんな声が聞こえる。


「あのひと、かみのけがにじいろだよ!」


「見ちゃダメよ!」


「瞳に色がないわ。」


「気味が悪い」


「なんだ、魔物か?」


私は楽しかった。私を評価してくれる者は今まで誰もいなかったから。


姿を変えるのは簡単だったけれど、その日はそれで過ごしたよ。




そして、夜。


「セリーヌ!」


また、彼女に会えた。

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