愛し子
「貴方は、神様なのですか?」
エラは尋ねた。前世では神様なんて信じていなかったけれど、この世界には妖精がいる。妖精に助けられて魔法のようなものも使える。神様がいたって、不思議じゃない。
「だから、そうだって言ってるじゃないか。」
セリーヌは笑った。レイラの姿のときより、格段美しいその姿で笑われると、動けなくなる。まるで体が動かない。
「別に緊張しなくて大丈夫。取って食いやしないよ?」
セリーヌが言う。
「貴方は、何故私の前に?神は妖精を与え、この世界がはじまって100年以降姿を現さなかったと聞きます。」
子供でも知っている。
「君のことが好きなんだ。」
「どういうことですか。」
「妖精達も言っていたろう?君の魂は美しいんだよ。輪廻の輪によってこの世界に降り立った君の魂は、私がかつて愛した彼女のものだ。」
恍惚とした表情でセリーヌは言う。
気味が悪かった。
私は、かつて愛した彼女ではない。そんな人知らない。
やめてほしい。もう既に私は誰なのかわからないのに。
「その人が貴方をセリーヌと呼んだ人なのですか?」
「ご名答。」
セリーヌは更に口角を上げる。
「彼女は退屈な私を救ってくれた。癒してくれた。セリーヌという名前もつけてくれた。」
そこまで言うとセリーヌは無表情になった。冷たい、瞳。
私は突如震えが止まらなくなる。
「でも、彼女は死んでしまった。いや、死ぬのを望んだと言う方が正しいか。彼女に永遠の命を与えたかったが、彼女に拒まれたからな。『私はずっと生きるのは寂しい。だから、生かさないで運命のまま殺してくれ。』と。哀しかったよ。でも、もう一度出会えた。エラ、君に。もう二度と離さないよ。」
セリーヌは私を抱きしめた。酷く冷たい体だった。
「君は神の愛し子なのだから。」
愛し子。なんてことだろう。
私は二度と帰れないのではないか?
読者の皆様のお陰で、50話までくることが出来ました。
有難うございます!
独白を少しだけさせてください。内容には関わらないので読み飛ばしていただいても大丈夫です。
私はいつも、書くべきか迷っています。
作者の都合上、一日にあまり多くの量を書くことが出来ません。また、時間が無く、ストックを作るのも難しいので毎日その日に書いています。だから、各話の量や質もまちまちです。
そして、私の作品を読んでくれる方がいるのか。楽しんでくれる方はいるのか。もしかしたら、気分を悪くする人もいるんじゃないか。そんなことを考えてしまいます。
作者のメンタルは豆腐です。
だから、ついつい悲観的に考えて、今日、もう書きたくないな、と思うこともあります。
でも、毎日少しずつ増えてくれるブックマークや、心優しい方がしてくださる評価、頑張ってくださいとの嬉しい感想、それらの全てが私が書く原動力となっています。
本当に本当に嬉しくて有難いです。
こんな作者の物語ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
これからも、エラたちをよろしくお願いします。




