妖精
「そっか。」
ロイは笑った。哀しい微笑だった。
「僕は、エラの意思を尊重したいよ。」
「有難う。」
「でも、それには色々と難しいことがある。」
「わかってる。」
私は頷く。これは、私の、我儘だから。
「だから、二人で方法を探そう?」
「うん。本当に、有難う。」
暫く経ったけど、まだなんの案も出ていない。私は最初、黙って失踪するつもりだったけど、普通にロイにとめられた。みんな追いかけてくるから、だって。私をそんなに心配する人なんていないと思うのに。
「来週向かう、海の注意点です。」
ウィルが黒板に書く。
1 一人で行動しないこと
2 動きやすい服装で来ること
3 妖精を怒らせないこと
「海や森など、自然の多いところには妖精がいます。妖精は自然を大切にしなければ怒り、手を貸してくれなくなります。」
そう。この世界には妖精がいる。
水、火、雷、土、風など、様々な種類がいて、普段は姿を見せないものの、祈りを捧げることで妖精達が手を貸してくれるのだ。数百年に一度くらいに妖精の愛し子が現れ、愛し子には姿を現すとも言う。童話の話か、とも思うけれど何も無いところから、火の妖精に祈れば火が出てきたり、風の妖精に祈れば風が出てきたりするのだ。
海には水の妖精がいる。
まだ、妖精がいるところには行ったことがない。少し楽しみでもある。
また、イベントがあるのだろうか?
レイラとの約束をどうするかも、まだ、決まっていない。




