考察する令嬢 レイラ・ボールドウィン
入学パーティが終われば、暫くは次のイベントまで時間がある。この機会に、乙女ゲームとの違いを明確にしなくてはならない。違いに触れないでそのまま乙女ゲームとしてやっていくのは無理がある。そこを修正しないでおくと、いつの間にかロイとエラがくっつかないなんてことになり得る。そんなの死んでもゴメンだ。既に1回死んでるんだけどね。
さて。ロイはそこまで心配なさそうだ。
エラのこと大好きだし、私がアピールしても動じない。まさに乙女ゲームのヒーローの鏡。
どっちかって言うと、エラが自分のことを恋愛対象に見られてないことに対して嘆いてる。
乙女ゲームのヒロインが鈍いのはデフォだからいいと思うんだけど、エラは鈍いって言うより自分を恋愛の場においていない感じなんだよな。きっと、ロイの好意にも気がついているし、周りが自分をどういう目で見ているのかもわかっている。でも、それは、自分のものでは無いと思い込んでる感じがする。
とりあえず、最初のイベントに間に合うように付け焼き刃で、頬を染めるように練習させて(自分の1番恥ずかしいことを思い出させた。)、チークもピンクを選んだ。
どこをどう見ても、恋している令嬢にしか見えなかっただろう。演技はとても上手かったし、なんなら本当にロイが好きなんじゃないかって程。
でも、これからはいつもチークをピンクにしておくわけにもいかない。学園ではそんな濃いメイクをしていたら訝しがられるのがオチだ。
だから、意識を改革する必要がある。
エラが、ロイを好きだと思えるように。少なくとも関心を持たせるように。エラはあまりにも、ロイに興味が無さすぎだ。
オースティンがエラを『つまらない』と言っていた。乙女ゲームでオースティンは面白いと思ってエラに好意を抱く。ロイルートだからオースティンは放置しても良さそうだけれど、『つまらない』とは、どういうことなんだろう。
ヒューゴはここまで最も絡みが少ない。これから色々探らなければ。
ウィリアムは、エラのことが好きすぎる。教師とは思えないくらいに。溺愛の原因も探らなきゃな。
あー!やることが多いっ!




