誤魔化す令嬢 レイラ・ボールドウィン
「くっくっくっ」
「なんですか?」
オースティンが、笑ってる。失礼じゃない?絶対私見て笑ってるよね。
「レイラ嬢は、ロイが好きなのかな?」
……?あ、ああ!そういう設定だった!!!!エラとロイのスチルが最高すぎて忘れてた。
「ええ。知ってらっしゃるでしょう?有名だと思っていましたけれど。」
「本当に?」
自分で聞いてきたんじゃないか。当たり前でしょう。
ロイ(とエラの絡み)が好きなのよ。
「勿論ですわ。エラと早く別れないか、と思ってるんです。」
嘘だけど。
「ははっ!それにしては、エラと仲がいいみたいだし、さっきの目も、恋する女の子ってより、恋愛小説でも読んでる女の子だ。さっき明らかに、ロイがエラを口説いてたのに、それに嫌悪すら抱いてないよね?」
オースティン意外と鋭い。でも、ここで認めたらこれからの乙女ゲームに支障をきたす。
「そんなことありませんわ。見間違いでなくて?」
オースティンがまた笑う。
「じゃあそういうことにしておこう。」
長くて、最高で、最悪なダンスが終わり、ほっと一息つく。
オースティンって、こんなキャラだったかしら?頭の回転があんまり早いほうじゃないと思っていたのだけれど。
私も甘かった。心の内を全開にして、スチルを見るのは危険ね。でも、あの素晴らしさを悶えないでどうしましょう。次からは隠れてみる?忍者みたいにしてみればいいのかしら。まぁ、無理ね。私そこまで運動神経良くないし。どうにかバレない術を考えなきゃ。扇を持ってるのが一番妥当かしら。でも、そういうの、持っていられない時もあるし。さてはて。どうしましょ?
疲れたけど、スチルは最高だった。あんなに素晴らしいものが、この3年間見られるなんて!
最高かっ!
お家に帰ったら、エラにお礼のお菓子を作らなくちゃ!




