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入学パーティー

会場からざわざわとした雰囲気を感じる。

私、人が多いところって、人酔いしちゃうから苦手なのよね。


ロイが、私を見つけて近寄ってきた。勿論、今日のパートナーはロイだ。婚約者がいる身で、婚約者以外をパートナーにするなんて有り得ないから仕方ないけど、ロイって目立つのよね。私は本当は壁の花に徹していたかった!!!


まぁ、レイラとの約束もあり、それは確実に無理なんだけど。


あの後、レイラに詳しい内容と、今迄の、令嬢らしからぬ振る舞いを正された。だから、その後少しだけ、私を知る人たちにはびっくりされたんだけど。


「エラ!っ!」


私を見るなり声をかけ、その後赤面した。なんだよ。


「どうかなさいましたか?」


私が訊くと、ロイは耳まで赤くしてぼそっと言う。


「綺麗だな、って。」


ああ。可愛い。照れてるところ可愛いね!

レイラのレクチャー通りに私は顔を赤らめて、


「っ、有難うございます。」


という。その後、微笑めば完璧だ。

それを見るとロイは急にしゃがみこんでぼそぼそなにか言い出した。残念ながら小さすぎて何も聞こえない。


「ああもう!エラはなんてことしてくれるんだ!パーティー用のドレスとメイクで普段以上に可愛くなるなんて!最近はいつもと違うようだと、心配してたけど、これもイイ!!今すぐ結婚したい!ドレスが僕の瞳の色って。ほんと、嬉しい!!!ああー」


「どうなさったのですか?」


私が心配そうに尋ねると、ロイはなんでもない、と立ち上がった。


「行こうか、エラ?」


私はロイが差し出してくれた腕に、腕を絡める。


「今日はよろしくお願いします!」


そう言って、ロイに微笑む。ロイはそれに微笑み返す。これで、仲睦まじいカップルに見えるだろう。





「ロイ・シアーズ様、エラ・フォーサイス様です。」

扉を入ってすぐの所で、名前を呼ばれ、礼をする。

入学パーティーは学園の人を覚えるいい機会なので、ここで名前を呼ばれるのだ。


今まで歓談されていた方々もこちらを見る。

やはり、王子の名前は凄いな。会場の皆が見てるよ。


「エラ、行こう。」


ロイがそう言って、私をエスコートする。

視線が刺さる。ロイを狙っている令嬢かな。みんな熱い視線を送ってくるよ。怖い怖い。


このパーティーを終えたら、あんみつが待っている。

そう思えば何とかやっていけそうだ。


「エラ、私と踊っていただけますか?」


ロイが私に手を差し出す。


「ええ。勿論!」


私が微笑みながら手をとると、音楽が流れ始める。

ダンスは得意なんだ。


ここで、こう言うのだ。

「みんな、あなたを見てるわ。」

すると、ロイは。

「僕は、君のことしか見えないよ。」


さっっっっむ。

私は震えた。今ごろレイラは違う意味で震えているのかもしれない。



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