甘味って最強。
あー言っちゃったよー。
でもさ、しょうがないと思うんだよね。だって、この世界って、本当に甘いものがない。食後のデザートは酸っぱいヨーグルトとか。無理なんだよもう。目の前にどら焼きあったら、欲しいに決まってる!!!
「ふふ。落ち着いて。エラ様。」
にっこりとレイラ様が微笑む。ああ。完全に手の中だよ。また少しスローライフが遠のくのかなぁ。
「次のイベントは、入学パーティです。よろしいですか?きちんとしたマナーで、いじらしく、ロイ様を見つめていれば、勝手にラブシーンがやってきます。」
「いつまで、そんなふうにしていなければならないのですか?」
「学園の卒業パーティです。そこで、私は断罪されるので、辺境にとばされます。それからはお好きになさって。」
レイラ様はとっても嬉しそうだ。あと3年?長い。
「え、まって、レイラ様。それってスローライフ?」
「考えるとそうかもしれませんね。」
泣きそう。
「羨ましいィィィ!!」
「えー。じゃあ、どら焼きいりませんか?」
私は真顔になる。社会人のスキルだ。
「分かりました。でも、1つ条件があります。」
「なんですか?」
「この3年間、私にお菓子を貢いでください。」
ご褒美がないと、いじらしい真似なんて、出来るもんですか。キャラじゃないのよ。ていうか、寒気がする。自分がか弱くて、ただ男に庇護される対象であることに。
「いいですよ。」
レイラ様はニッコリ微笑む。
ひとまず、話は終わりだ。そこで、レイラ様がおずおずと言ったふうに切り出す。
「話は変わるんですけど、エラ様の前世って、どんな人だったんですか?」
私の前世?
もう、15年も前のことだ。懐かしいなぁ。




