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和菓子って美味しいよね。

「どうして?なんでそんなに驚いているの?」


私は尋ねた。


「なんで?!ヒロインの座にいるのはエラ様でしょう!私にお譲り頂かなくとも、ご自分で堪能されたらよろしいんじゃなくて??」


いやー。別にイケメンは求めてないんだよなぁ。確かに目の保養だけど、スローライフの方が魅力的だ。


「ごめんなさい。私、夢があって。そのためには、ロイが婚約者なのはあんまりよろしくないのよ。」


私がかなりオブラートに包んで言うと、レイラ様は呆然とした。


「なんで?だって、イケメンよ?イケメンとの恋よ?」


「ごめんなさい。現実のイケメンより、フィクションの方が魅力的に思えるのよ。私、スローライフを送りたいの。だから、次期王妃なんて、辛いだけなのよね。」


私がため息混じりに言うと。レイラ様は泣きそうになっている。


「え、いいのよ?ロイがタイプなんでしょ?乙ゲーで落とし方は分かっているだろうし、恋愛してくださって結構よ。私は婚約破棄する予定だったし。」


「なんで!私、貴方とロイの恋愛が見たかったの!私は夢女子じゃないの!第三者最高!貴方をいじめて、2人がくっつけば御の字だったのに!」


ええーーー!そんなこと言われましても。


「でも、私、婚約破棄したいのよ?」


「嫌よ!許さないわ!」


「私、ロイにときめかないわ!」


「大丈夫!ときめいてるように脳内変換するから!」


「じゃあ、レイラ様を私に脳内変換すればいいじゃない!」


「脳内変換にも限界があるの!あと、距離が違うわ!」


「「はぁ。はぁ。」」

二人とも叫んでいて息が切れた。


深呼吸してから、私は言う。


「私は譲らないわよ!(スローライフを!)」


「望むところよ!(婚約破棄させないから!)」


レイラ様が急に、真面目な顔になって言った。


「ちなみにエラ様。和菓子はお好き?」


「ええ。粒あん派よ。それがどう……っ!?」


目の前に出された物体に私は言葉が出なくなる。


「私もです。私、前世は和菓子屋を営んでおりまして、今世でも、諦めきれず、作っちゃいました。」


完璧などら焼きに、私は涙を流した。

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