準備する令嬢 レイラ・ボールドウィン
色々な誤算があった。
でも、ラブ要素は沢山あるし(ゲームよりも)ゲームでカットされてた話とかもあったりして、とても幸せな日々を送っている。だからとりあえず暫くは何も考えず、当初の計画の通り、嫌がらせをしていくつもりだ。
そして、私は今、大きなイベントを前に興奮している。
〈入学パーティー〉
主人公は未だ社交界デビューを果たしておらず、学園内と言えど、初めての夜会となる。そこで、ルートの攻略対象にエスコートされる。登場する主人公は周りからのざわめきを不安に思いながらも、立派な淑女として役割を全うし学園内の株も、攻略対象からの印象も大幅upするのだ。
そして、そこでスチルがある。ロイルートだから、最推しとかわいい女の子のスチルを生で見られる。スチルって、大体主人公が後ろ姿だったりするんだけど、生だったらどっちも見れる。
最高かっ!
しかし、入学パーティーはかなり選択肢が難しかった。マナーについての選択なのだ。昔は全然知らなくて、調べたりしながら何度もやり直した。
この世界に転生してからは自然に身についたが、エラは大丈夫だろうか?気になる。
「ごきげんよう。エラ様。」
学園でエラに挨拶をする。エラは満面の笑みで答える。
「ごきげんよう!レイラ様どうなさったの?」
可愛ええ。やばい。女でも惚れる。
「え、ええ。エラ様は、もう、入学パーティーの準備は終えましたの?」
少したじろぎながらも、尋ねると、エラは気持ちよく答える。
「はい!私、これが最初の夜会なので、楽しみなんですの。」
「そうですか。」
やばい、なんも聞けない。この可愛さを前に、にやけるのを必死に抑えるのが限界だ。
「あ!そうですわ!レイラ様って、もう、社交界デビューをしてらしたでしょう?色々と教えて下さらないかしら?」
渡りに船だ!
「もちろん宜しくてよ!」
勢いよく答えると、エラは言った。
「では、今日、私のお家に泊まりませんこと?」
とても可愛い笑顔で。
え、待って。そんな展開あった?ないよね。悪役令嬢と主人公がお泊まり会って何?なに、無理でしょ。
「無理で……」
「駄目ですか?」
首をかしげ、不安そうに見つめるヒロイン。これに、落ちない者がいるだろうか。
というか、考えてもご覧。イマイチゲームに関係あるかないかよく分からないという曖昧な考えと、可愛い子との女子会兼お泊まり会。どちらを取るかなんて一目瞭然だろう?
「行きますわ。」
言ってしまった。




