嫉妬って、可愛くないですか
学園の入学から暫くたち、学園にも慣れてきた頃だ。
私は中庭でレイラ様を見つけた。初対面で出会ってから、避けられている。お友達になりたいし、あわよくば、ロイの婚約者になって欲しかった。
前に、見てしまったのだ。ロイがレイラ様を抱きとめているところを!立ち去ろうとするロイを見つめるレイラ様の瞳には複雑な感情があった。
きっとそれは恋だ!
私はレイラ様の所へ駆け寄る。すると、レイラ様は意を決した様子で振り向く。そして、私は転んだ。
前の日に雨が降ったのが悪かった。私のドレスと教科書が泥だらけになってしまった。お気に入りのドレスが汚れてしまったのに悲しみながら、転んだ理由を考える。何かが足にあたってつまづいたのだ。
それは、レイラ様の足だった。レイラ様は泣きそうな顔で言った。
「あら、申し訳ありません!足が引っかかってしまったようね。」
と。
私は察した。
彼女は私に嫉妬したのだと。
ロイの婚約者は(一応)私。恋敵だと思って、こんなことをしたのね!
え、ちょいまち。可愛ええ。
嫉妬って、可愛くないですか?嫉妬して、転ばせて狼狽える、つり目の美女、可愛くないですか。もう、可愛いでしょ?やばいやばい。
でも、こんな迷惑をいちいちかけられたらたまったものでは無い。
「あら!そこに、よろしい教科書がございますわね。ドレスは後で賠償金を請求しますわ。」
お前、私になんかしたら、損した分償ってもらうからな、という意味を込めて言った。
すると、聞きなれた声が聞こえた。
「エラ!大丈夫かい?レイラ嬢。何をしている?」
ロイの咎めるような声にレイラ様は少し震えた。
「あら、ロイ。あなた、どうしてここに?」
「エラを探していたんだよ。それより、どうしたんだ?そのドレス?泥だらけじゃないか。」
私は状況を説明する。
「ああ。転んでしまったのよ。でも、大丈夫。レイラ様の長い足が引っかかってしまって、レイラ様が悪いからって教科書を譲ってくださるそうよ。ドレスも後で新しいのをくださるって!優しいお方ね。」
皮肉を混ぜながら最後に褒める。
これでチャラにしてあげる、という意味を込めウインクすると、目を逸らされた。なぜ?
「エラは優しいんだな。」
と、ロイが見当違いなことを言い始めたので、私はイラッときた。どこら辺が?皮肉めっちゃいいましたけど?むしろ、いじらしいレイラ様の方が優しいだろう。恋敵への意地悪を躊躇なんて!
私がお説教し始めると、レイラ様がドン引きしてた。哀しい。
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