比較する令嬢 レイラ・ボールドウィン
私が今まで乙女ゲーム通りに動いて起こった結果〜攻略対象編〜をお送りしたいと思う。
ロイ・シアーズ
〈ゲーム内〉
レイラが転びそうになるところをロイが抱きとめる。
「っ!申し訳ありません。つまづいてしまって……」
ロイが柔らかい目で見つめる。
「大丈夫?怪我はない?」
「はい。大丈夫です。有難うございます。」
〈現実〉
レイラが転びそうになるところをロイが抱きとめる。
「っ!申し訳ありません。つまづいてしまって……」
ロイが冷たい目で見つめる。
「次は気をつけて。」
「はい。」
そしてぶつぶつと何かを言い始める。勿論、地獄耳の私には聞こえる。
「もしエラがみたら、レイラ様と仲がよろしいのね!婚約したい?いいわよ!婚約破棄してあげましょう!なんて言うに決まってる……」
ウィリアム・ウォード
〈ゲーム内〉
中庭でレイラがウィリアムを呼び止める。
「先生!」
ウィリアムは無表情で振り返る。
「先生は好きな人はいるんですか?」
ウィリアムは、エラのことを思い出し、顔を赤らめる。
「い、いませんよ。」
そう言って、足早に去っていく。
〈現実〉
中庭でレイラがウィリアムを呼び止める。
「先生!」
ウィリアムは笑顔で振り返る。
「どうしましたか?」
「先生は好きな人はいるんですか?」
ウィリアムは笑みを深める。
「いますよ。彼女のこと、聞きたいですか?」
そう言って、私の方に1歩詰め寄ってくる。
オースティン・ロックウェル
〈ゲーム内〉
街中で、レイラがオースティンに声をかける。
「ごきげんよう!」
オースティンは不思議そうに首を傾げる。
「私は、同じクラスのレイラ・ボールドウィンですわ。」
「ああ。こんにちは。」
〈現実〉
街中で、レイラがオースティンに声をかける。
「ごきげんよう!」
オースティンは少し考えてから言った。
「ああ!同じクラスのレイラ・ボールドウィン嬢!レイラ嬢とお呼びしても?」
「ええ!」
ヒューゴ・トレス
〈ゲーム内〉
「っすまない!少し寝不足で。」
ヒューゴがよろけ、レイラが壁ドンされる形になる。
「大丈夫ですわ。」
レイラが顔を赤らめる。
「悪いな。」
逃げるように去っていく。
「保健室に行った方が……」
「いい。」
〈現実〉
「っすまない!少し寝不足で。」
ヒューゴがよろけ、レイラが壁ドンされる形になる。
「大丈夫ですわ。」
レイラが顔を赤らめる。
「本当に?心配だから、教室まで送っていくよ。」
レイラに微笑む。
これらは全て、主人公が攻略対象とレイラの仲を邪推し、疑うシーンで出てくる。勿論誤解だと分かり、ハッピーエンドに向かうが。
比較してみると、少し、おかしい。
でも、攻略対象たちからの想いは乙女ゲームより大きく、私得である。
一つ問題があるとしたら、主人公の乙女ゲーム以上の鈍感さだろう。




