ロイが怖い
「あら、ロイ?どうして怒っているの?」
何故ロイが怒っているのか。あんな可愛い子を邪険に扱うロイの目が節穴だと言っただけではないか?むしろ私の方が怒っている。
「エラは何もわかっていませんね。」
すると、こんなふうにため息を疲れた。イライラが高まる。
「最近は、色々な表情を見せてくれるようになって、漸くこっちの気持ちにも気付いて意識してくれるようになったのかと……私が甘かった。エラの鈍感は今に始まったことではない。気長に行くか。」
なんかブツブツ言ってるし。なんなのよ?
「なんで、レイラ様を嫌がるの?」
少しの苛立ちを含ませながら尋ねる。
すると、ロイは笑顔になった。嬉しい時の可愛い笑顔でなく、怒っている時の冷たい微笑だ。
「な、なに?」
「ふふ。エラ、私の婚約者は誰ですか?」
「わ、私ですけれども。あ、私、いつでも身を引く覚悟でしてよ。ロイに好きな人が出来たら。だって、好き同士が幸せになった方がよろしいでしょう?幼い頃に決められた婚約なんて、私がどうにかして差し上げますわよ?」
私がロイの怒りに焦り捲し立てると、ロイは更に笑を深くした。
「エラ。婚約を決めた時のことを覚えていますか?」
覚えている。かなり、スローライフから遠ざかった悲しい日だ。
「ええ、まぁ。」
私は憂いを表情に浮かべる。
「あの日、私が何を言ったか覚えていますか?」
「たしか、僕のことも好きですか?だったかしら?」
「それに貴方はなんて答えましたか?」
「ロイのことも大好きだと。」
「では、何故貴方は私に他の女性といるのを許し、あまつさえ勧めたりするのですか?」
わぁお。痛い。痛いよ〜
スローライフのために君にいい花嫁探してんだ!とは言えないなぁ。
あと、あの時君が可愛すぎて、とも言えないなぁ。
最近なんでか、可愛いって言うと怒るし。
私は瞬時に時計に目を落とし、時間を確認した。
よしっ!
「あら、ロイ。もう、こんな時間でしてよ?そろそろ行かなければいけませんわね。行きましょう、アガタ。」
友人のアガタにも声をかけ、私は逃げるように教室へ向かった。




