ロイの目は節穴
「あくやく?」
私が頭上にはてなマークを浮かべながら尋ねると、美しいご令嬢は、はっとこちらに意識を移した。
「私、レイラ・ボールドウィンと申します。貴方のお名前は?」
ボールドウィンと言ったら権力のある公爵家だ。同い年のご令嬢がいると聞いていたけれどこの子のことか!かっこいい感じの美人で、今来ている大人っぽいブルーのドレスが似合っている。
こういうかっこいい女の子周りにいないから、とても愛でたい。まずお友達になりたい。
「エラ・フォーサイスですわ。」
私が名乗ると、レイラはがっくりと項垂れた。なに?え、やだ。嫌われてる?
「どうか、なさいました?」
「いえ、申し訳ありません。気分が優れないので失礼致しますわ。」
そう言うと、足早にレイラは去っていった。
お友達になりたかったのになぁ…
「レイラ様って知っていらっしゃる?」
私がそう尋ねると、友人のアガタ・ガルシア侯爵令嬢は苦い顔をした。
「ええ。まぁ。エラと言う婚約者がいるのは公然の事実なのに、ロイ様にアピールする不埒な女ですわ。」
私は驚いた!
ロイにあんないい子がいたなんて!なんで教えてくれないのよ!潔く身を引くのに!
「ロイはどう思ってるのかしら?」
「ロイ様は良く思ってないみたいよ。エラがいない時に限って会いに行ったりして、嫌さを微塵も隠さずに出しているのに、近寄ってきて。」
「あんなに綺麗で優しい子なのに!?ロイの目は節穴なんじゃないの?!」
ハンカチを拾ってくれたし、とっても美人だった。どこが不満なんだろう。
「誰の目が節穴だと?」
後ろにロイが立っていた。なぜか怒りながら。




