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レブル  作者: ヘアピン
3/3

会話しないホームルームで

ホームルームまでの時間というか、授業終わり次の授業が始まるまでの約十分ほどの時間が、僕はとても嫌いだ。


なぜかと言うと、みんな固まって行動し始めるからだ。


僕は友達が少ないわけではないが仲がいい人があまりいない。


この時の男女は大きく分けて3つに分かれる。

女子はほぼみんな固まって秀哉のところに行く。

「さっきの授業の過去わからなかったんだけどー教えてくれる?」的なことを口実にやたらアピールする人が多い。


男子はクラスのマドンナである女の子に話しかけている。


安城舞あんじょうまい、髪がロングで肌が白く、とても綺麗な人だ。

あれに惚れない男子はいないだろう。少なからず僕はそう思う。


僕も想いを寄せているが、話しかける勇気もなくただ遠くで見ているだけで満足だ。


そしてその他は僕みたいに寝てるふりか、トイレに行く人たち。でもみんな本心では秀哉や安城さんのところに行きたいんだろうな。


クラスがガヤガヤしてきたころに先生が入って来る。


僕らの担任は女性の先生だ。

「全員いるな、みんな席について。前回やったテストの返却するから順番に来て」


そう言って僕たちがやったテストが次々と返却されて行く。


「ちなみに、今回のテストの平均点は56点です。他のクラスは70前後、全体で70.5です。少し他のクラスに負けてるから、頑張ってあげてね」


配りながら先生が大きな声で皆に伝わるよう話していた。

僕たちの学校、いや全ての学校は月に2回ほどテストをする。普通のテストではなく常識を図るテストだ。


一般常識のテストだがこれがとても難しい。国が作るもので難易度ははるかに高い。


返されたテストを見てがっかりする人、喜ぶ人がはっきりしていた。


これは就活や進学においてとても関わるものだ。


テストは生徒の実力を図るとか先生は言っているが、優劣を決めるだけのものになってるような気もする。


こんなのあってもなくても変わらない気がする。


「つぎ、神崎くん。早く来て」

そう自分が呼ばれもらいに行く。

僕の点数は……72点か、クラス平均は越えたが全体で見ても平均クラスなのだろう。


とても微妙だ。


そして全員のテストが返された。


「安城さんに三門くん。今回もこの二人が百点満点です。みなさん拍手!」


その言葉にみんな惜しみない拍手が送られた。

クラスのアイドル的存在が讃えられたのだ。


もしこれが僕なんかじゃ、まばらな拍手だろうな。


悲しくなってきたのでこんな妄想はやめよう。


早くこの時間終わらないかな。そう思いながら先生の話を聞き流す。


どうせ帰ってもやることはないのだが。


「ちゃんと聞いてるの神崎くん?」


突然先生に名前を言われへんな声で「はい」と返事をした。


かすかに笑われる声が聞こえて顔を真っ赤にして俯く。


やってしまった。今まで特に悪目立ちはしてなかったからか、安城さんの前でへんなところを見られてしまった。


真っ赤な顔を上げ安城さんのいる斜め前の席を見る。


滅多に笑わない安城さんが笑いをこらえてようとしている可愛い姿が見えた。


あー、もう可愛すぎか。その姿を見たらまた顔が真っ赤になっていく。


ある意味ではいい日だった、そう思いながらホームルームを終え、秀哉を誘い帰ろうとする。

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