自己紹介
ババアから2人の魔法について聞かされた。
アレスタは火魔法が得意で、Sランク相当の魔法だそうだ。
なんて羨ましい。
だが、魔法の原理や、実際の起こっていることを理解していないため、俺の半分も実力を出せていないらしい。
次にクトゥルフだが、水魔法が得意で、SSランク相当の魔法をつかえる。
知識も十分にあるが、水魔法については、元の世界の原理を教えなければさほど強くない魔法だ。
つまり2人とも知識や実戦経験、慣れが足りないため、Sランク相当の魔法を使えても宝の持ち腐れになっているらしい。
レアから聞いたことを整理して明日から2人のことに関して取り組もうとしたら、寝ずに教えろと言われた。
全く鬼だ、鬼。
こりゃ明日の学園での授業は爆睡だな……。
翌日
俺は今とてーも焦っている。それこそ、転生前も含めても最大級にだ。
それは、入学式の翌日に遅刻すればどうなるか想像すればいいだろう。
とりあえず友達はあまりできるイメージはない。
何としても間に合わなければならない。
ついでに上級生2人は服装に忙しかったらしく、遅刻しかけだ。
やばいやばい。
2人を連れて急いで飛んで学園へと向かう。
2人が居なければ、空間を繋げて転移も出来るのだが、2人を置いていく選択肢はない。
それに、この2人は飛べるのは飛べるのだが、俺の半分しかスピードが出なかった。
なので、連れてと言うよりも抱えて運んでいると言った方が正しいだろう。
初日からこの調子では先が思いやられるなぁ……。
学園へ着いたのは本当にギリギリだった。
急いで、クラスへと向かう。扉を勢いよく開けて部屋へと入ろうとすると、クトゥルフが声をかけてきた。
「それでは私達は、別のクラスですのでこれにて。
ありがとうございました。」
「またなプレス!」
「おう、2人ともまたな。」
プレスが急いで席へとつこうとすると隅の席が一つ空いていたため、そこへ腰をかける。
それと同時に、チャイムが鳴り響く。チャイムは転生前の学校と同じような感じだ。
「それでは揃った様なので、ホームルームを始めます。」
そう言えば言い忘れていたが、俺はBクラスになった。
クラスはSクラスからCクラスまであるのだが、丁度真ん中といった所だ。学園としては、実力主義をかかげているので、例え2位であっても、実力が足りなければ下のクラスへと落とすのだろう。
「ミラージュ・プレス君?」
そう言えばあの2人はどこのクラスなのだろうか、多分上級生のAクラスかSクラスにはいるはずだが、後で聞いておこう。
「ミラージュ・プレス君! 無視しないでください!」
「はい、先生何でしょうか?」
「みんな自己紹介したんですけど、さいごにあなたの番ですよ!」
どうやら考えにふけっている間に自己紹介をしていたらしい。全く聞いていなかった。
学園は一応制服はあるのだが、私服で来ていいと言うので、いつものババアにボロボロにされた服で来ている。服装なんて気にすることは無いからな。
「はい。」
ミラージュは立ち上がり自己紹介する。
「僕の名前はミラージュ・プレスと言います。得意な魔法は水魔法です。一応風魔法も使います。……。」
後は何を紹介すればいいのだろうか……。皆の自己紹介を聞いていなかったため分からない。
「以上ですか?」
どうやら教師が助け舟を出してくれたようだ。ありがたく乗っておく
「はい。」
「それでは今日はそうですねぇ。最初の時間は質問タイム、続いて、再びテストをします。」
「「「「「えええぇー」」」」」
テストと聞いてか、全員が悪夢のような顔をする。
「テストと言っても意味もないものよ。そんな堅苦しくなくていいし、クラス毎のテストだからクラス内で相談してもいいわよ。
あと、実力テストもあるんだけど。これについては後で説明するわ。
じゃあ質問タイムに行こうかしら。
今から1時間質問タイムにしたいんだけど、先生のことでも、同じクラスメイトのことでもなんでもありよ。質問しまくりなさい。」
要するに1時間お互いのことについて知るために質問しろということだろうか?
知る為も何も最初の自己紹介事態を聞いていなかったのだから何も知らないのだが。質問といえば名前はなんですかとかしか思いつかない。
「はい!」
「はい、ミラ・クルシュさん」
赤毛の少女が手を挙げたようだ。
「あの、ミラージュ・プレス君の事なんですけど。」
「俺のことか?」
「そうです。」
どうやら俺のことについて知りたいらしいが一体何を質問されるのか心当たりがない。
「学年次席というのは本当ですか?
しかも筆記試験の過去最高得点を塗り替えて満点で合格したという。」
「一応そうだが。」
その事実に周りがどよめいた。
「やっぱりそうなんですね! でも、次席なのになんでこのクラスなのかなってあと最後の問題について聞きたくて。」
「次席なのにというのだが、それは大人の都合というやつじゃないかな? ハッキリとは分からないけどそこの教師に聞いたらわかると思うよ。」
ギクッと擬音が聞こえそうな飛び上がりようで先生が反応する。
「あと、最後の問題については、どこの部分が分からないの?」
「全部です」
「え?」
クルシュさんが言っている最後の問題というのは、水魔法についてだ。
水魔法の弱点は雷魔法というのはこの世界では常識とされている。それは水が電気を通すからだ。
だが、時として水魔法は雷魔法に勝ることがあるという。それは何故か説明しなさい。という感じの問題だったと思う。
「あの問題は、世界の魔法についての難問の一つで、一般的には知られておらず、資料にも乗っていないらしいのです。なので、何故、答えられたのかと思って…。」
どうすれば正解に近い答えを教えられるのか迷う。流石に前世で習ったからだよなんて言えない。
「うーん。この場では難しいことは置いておくけど、例えば空気って何でできているの?」
「空気は空気ですよ。それ以外の何物でもありません。」
「そっか、案外難しいな。……水って、言ってもね。種類があるんだよ。」
プレスの言ったことに先生すら首を傾げる始末だ。多分ちゃんと理解はされておらず、分からないのだろう。
「水に種類ってどういうことですか? 塩水とか、水ってことですか?」
「そうそうそれに近い。水って言うのは本当は雷を通さないんだよ。」
「うそー!」
「嘘じゃないよ。特に雷っていうのは気まぐれでね、通り道って言うのがあるんだよ。
水はその通り道がないんだ。」
「じゃあなんで雷が水を通ることがあるの?」
「実はね、水が通してるんじゃなくて、水の中の小さな物体が通しているんだよ。」
「要するに水だけなら通さないが、何か不純物が混ざっていれば通すと?」
「そういう事だよ。」
クラス全体がぼーっとしたようにこちらを見る。
「怪しいだけじゃないのね。流石次席!やるじゃない。」
先生まで怪しいと言うか。てか、前に追いかけてきたやつが担任か……。
キーンコーンカーンコーン……
「おっと、もう終わりか一つしか質問出来なかったみたいだけど、休憩よー。じゃあ10分後にまたねー!」
良かったらブックマーク宜しく御願いします。