面倒な事
しばらくして、少年と少女は起きた。
起きた時は困惑していたようだが事の顛末を伝えると感謝をされた。
少女はアレスタ・ユグドラシル、少年はクトゥルフ・ユグドラシルと名乗った。この2人は、ライト家の所有物だったらしく、常日頃、ボロ雑巾のように使われていたようだ。
昨日はストレス発散と言われて魔法を一方的に使われていたらしい。
呪いのことを聞くと酷く怯えられた。どうやら呪いについては話せないようになっていたようで、呪いを解いたことを話すとまた感謝された。
だが、同時に彼らの顔に影がさす。奴隷だったこともあり、居場所というものが無いのだろう。話を聞くと親もおらず、孤児のようだ。
「この2人をどうする?ババア。」
「相変わらずマイペースだねぇ。この場くらい名前で呼んだらどうなんだい?」
「レア・プレス、どうするつもりだ?」
「そんなもの決まってるだろう。あんたもそのつもりだろう? そろそろあんたにも仲間の1人でもいた方がいいだろう。仲間じゃなくて友達とも言うかな。」
「友達くらいいるわ。あほ」
「精霊のことを言っておるならそれ以外でだぞ?」
「……。」
「ふっ」
目の前の勝ち誇った笑みを浮かべるレアを放置して、2人へと向き直る。
「2人についてなんだが、どうせだ、ここに住め。」
「で、でも申し訳ないですよ。」
「そうです。助けてもらっただけではなく住むところまでとなると流石に……。」
「じゃが、住む場所はどうするのじゃ?食事は、学園にも通わねばならぬ。」
「「そうですけど……。」」
「それにいずれお主らの主からもちょっかいがあるじゃろうしな。」
「「……。」」
「めんどくさいからいうけど、黙って甘えとけ、ここにいるババアは何だかんだで優しいし、色々教えてくれる。呪いも解けたし自分の意思で決めろ。」
「また厳しいことをいうじゃないか。」
「当たり前だ。自分の道は自分で切り開け」
2人はしばらく考えた後、家の仕事やレアの仕事を手伝うという条件で住むことを決め、レアからの授業と訓練をこれから毎日していくことになるのだが、その苦しみを知っているミラージュはなんとも言えない。
それに、学園では2人の面倒も見なくてはならない、しかも上級生をだ。
やっぱり人生ってやつはめんどくさい事でいっぱいだ。