入学式と小間使いの呪い
とりあえず入学式の日までババアにしごかれたので学園にはボロボロで行かなければならない。全く、嫌になる。嫌がらせついでに、寝ていたババアの横におもちゃの虫を置いていった。虫が苦手らしいので今頃、悲鳴を上げているだろう
それはさておき、俺は入学試験で次席だったので何やら挨拶をせねばならないらしい。
主席は入学挨拶、次席は先輩たちへの挨拶だとか。
次席の方がしんどい気がするのは気のせいではないと信じたい。
とりあえずやるしかないのだろう。
挨拶については全てアドリブらしい。まったく無責任な連中だ。
学園へ着いたらやはりあの周囲の目線は続いている。
そして入学式の会場へ入り、どうやら自由席らしいので隅に座る。
隅なのであまり目立たなかったがやはり始まっても周囲の目線は続いた。
「新入生主席代表挨拶」
元気よく返事をして主席のリンシア・ライトが前へと出る。
そして、長ったらしい挨拶を終えて席へと戻る。
それでは、続いて……。
そこから記憶が飛んでいる。どうやら寝てしまったらしい。
今は終わりの挨拶へと移行している。
「これで入学式をおわります。各生徒はこのままの体形で、左に寄ってください。先生方お疲れ様でした。」
そして、しばらくして在校生達が会場の右へと集合した。
「それではこれから新入生次席より、在校生へ向けての挨拶をします。新入生次席ミラージュ・プレス」
「はい」
気だるそうな声が会場にひびく、左の奥隅にいるので前に進もうとも人が多くて進めないので、無詠唱で魔法を唱え飛んで在校生の前へと急ぐ。
なぜだか在校生と新入生がざわめくが気にせず挨拶をする。
「在校生の皆さん、おはようございます。本日はこのような場を設けて頂きありがとうございます。私達は自分なりに努力して先輩方に追いつけるように努力したいと思いますのでよろしくお願いします。これをもって挨拶とさせていただきます。」
「新入生一同、礼」
おれは再び飛んで元の席へと戻る。どうやらまた注目されている。注目されるようなことはしてないのだが、何故なのかは分からない。
「それでは……、」
再びミラージュは寝てしまっていた。
起きた時には終了して、みんな帰る様子だった。
よし、俺も帰るか、そう思い会場を後にする。
会場を出るとトイレに行きたくなり、近くのトイレへと向かう。
トイレは学園の隅にあり、周りに人は誰もいないはずだったのだが、どうやら裏の方から声が聞こえる。
うめき声と、罵倒の声が……。
気になったのでトイレをゆっくりと済ませ、現場をちらっと除くと1人の少女と少年が倒れていた。
少女は血だらけで死にかけており、少年に至っては、左腕があらぬ方向へねじ曲がっている。
このまま死なれても困るので、ミラージュは異次元隧道を開き、2人を連れて家へと戻る。
連れ帰った時にはババアはおらず俺が対処するしか無かった。そのため最上級の回復魔法を唱える。
「根源を司る者よ、我の願いを聞き届け彼の者達を癒したまえ フルヒール」
2人の傷が時間が戻るように元に戻っていく。
どうやら男はもともと片目が見えなく、女は耳が悪かったみたいだが、治ったらしい。
ババアは1時間程して家に戻ってきた。
虫のことに関してグチグチ言われるかと思ったが、2人のことに関して聞かれた。
2人について話すと納得したように頷き俺に話す。
「どうやらこの2人は小間使いのようだね。」
小間使い?なんじゃそれ。
「分からないようだから言うけど、要するに雑用係だよ。多分制服を来ていることから在校生、しかも腕に紋様まであるってことは家の所有物ってことになってるね。」
「それってどういう意味だ?」
「要するに外見は小間使い、実際は奴隷みたいなもんさね。」
なるほどな。奴隷制度は今住んでいる国にはないらしく、禁止されているはず、なら隠すしかない……か。
「紋様を外す方法は?」
「無い。と本当は言うんだろうけど、あんたの魔法なら解けるだろうさ。呪いのようなものだからね。」
おれは早速2人へと向き魔法を唱えようとする。
「魔法は解呪魔法の最上級合成魔法を使いな。」
ババアの言葉に頷き魔法を唱える。
「数多の知恵の泉に眠りし精霊よ、我に力を貸し、この者達の呪いを解きたまえ。」
魔法を唱え終わると紋様が真っ黒に燃えたようになり、燃え尽きると紋様は綺麗に消えていた。