学園の名
学園の名はイリシア学園というらしい。
おれはババアと12年も森の端っこに住んでいたのであまり世界のことは分からないが勉強はさせられた。
イリシア学園の名の由来は、伝説のイリシアという勇者からとられたらしい。昔話なので本当かは分からないがな。
さて、学園の入学試験は2つ。
筆記試験と実力試験だ。
筆記試験と言っても幅が広く、科目は10もある。
実力試験については、さほど言わなくても分かるだろう。
先ほど筆記試験を終わらせて次の実力試験に行こうとしているところだ。
何?どうだったか? そんなもの完璧に決まっている。聞かなくても分かることだろう。
あのババアに叩き込まれたからな。
次の実力試験の内容は魔法力測定の後に魔法を実際に使えというものらしい。
魔法力とは言わば、魔法の源だ。元いた世界では魔力とか言ったか。
その測定には魔力石という物をつかう。
体内にある魔力を図るためのものだ。その強さは色で表されて、黄色いほど魔力が少なく、黒いほど魔力が多いのだ。
おれは黄色に調節しておいた。
魔力は普通は調節できない。人により固定なのだが、俺は調節ができる。なぜ調節したかと言うとババアに言われたからだ。理由は聞いてないし興味もない。
次の試験は広い部屋で数人同時に魔法を放ち発動までの時間、強さを図るらしい。
ただし、1回しか魔法は使ってはならない。つまり、合成魔法は使ってはならないということだ。
おれはその中で、普通に魔法を放ち普通の威力を発揮し、そのまま帰宅したのだった。
帰宅してもババアとの実戦は続く、その日は2時間ぶっとうしで戦ったため、体力はほとんど残っていない。
「死に損ないめ。」
「かっかっか、そんな軽口を叩く暇があるなら死に損ないを倒してみたらどうだい。」
年の割にはしわがれた声ではなく、若く感じさせるそんな雰囲気の声が聞こえる。
「そんな簡単に倒せたら苦労しないってーの。」
「まぁ、本当は12年もよくもまぁ、私相手に生きれたと褒めたいがね」
「そんな簡単に死んでたまるか。」
あの時の男の顔と女の顔が思い浮かぶ。
いきろ……か。
「少しは顔つきがマシになったみたいだし。学園でもう少しはマシになってきな。」
ババア曰く、絶望した顔をしているらしい。よくわからないが目が死んでいると。
「うるせー、超絶イケメンだろ。」
「かっかっか、そうじゃな。そのボロ雑巾みたいな服と目が無ければな。」
ボロ雑巾みたいな服にしたのは誰だよと内心悪態をつく。
「じゃあ明日に備えて寝るわぁ。」
「は?」
「え?」
「何言っとるんじゃ、まだまだすることは山ほどある。寝ている暇などないぞ。」
どうやら少しネジの外れたババアだと思っていたが、少しどころではないらしい。
全く付き合ってられない。
その日少年は寝ることすら出来なかった。