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普遍の真理
鏡は同じ世界を反対に写す物だ。これは言わずと知れた真理である。
だが、鏡は別世界を写してもいる。
別世界というのは同じ世界が鏡で写っているという意味ではなく、紛れもなく別の世界、つまり異世界という意味でだ。
合わせ鏡をすれば、複数の世界が見える。
そして、その見えた世界はどれも同じに見えて、違う世界なのだ。
例え、同じ時間に、互いの顔を見て自分だと認識していたとしても。
そして、時として、鏡は世界を裏切る。
人は、鏡を自分のいる世界と全く同じものを反対に写すと信じている。
だが、完全に同じとは限らない。自分の認識している範囲が全部とは限らないのだから。
そして、人は知らないまま、生きて、死んでいくのだ。