魔法とは
久しぶり。
よく趣味が狂っていると言われるモブ、天城八樹です。失礼な!
ところでさ。
突然だけど質問させてくれ。
もし、もしもの話だ。
お前自身が俺たちみたいに異世界に行っちゃったとしよう。剣と魔法の世界にだ。
多分、多くが「魔法を唱えたい!」って思うだろうな。
でも【魔力暴走】っていう現象で死ぬ確率が毎年10%らしい。
おい。おい!
『魔法スキルを唱えるために必要な過程は四つ。
一つ、呪文を唱えること。神々の名を唱え、敬うことで魔力を節約し、円滑に使用するためである。
一つ、想像が豊かであること。魔法スキルは本人の意思通りに動くからである。
一つ、平静を保つこと。微々たる動揺でも影響を受け暴走するからである。
一つ、魔法を恐れること。恐怖を克服することが魔法を制御する近道である。
魔法スキルは使い道を誤れば、忽ち兵器と化すもの。自身の力を恐れ、死を恐れ、克服する。それが魔法スキルの基本的過程である。』
え?
四つ目おかしくね?
無茶なことするなよ。怖いもんは怖い。それの何が悪いんだよ。
四つ目の意味が分からないから、トリアさんに聞いた。
この世界ーーさっき本を読んで分かったが、世界名は【■■■界】だーーでは、自然はそれほど脅威ではない。各種族ごとに神様の加護で守られているからだ。つまり、もしも異常気象なんてあったら「魔物の仕業か!」ってなる。
で、そんな世界で自然が敵になり得るのが【スキル】によるもの。自然がどのように危害を及ぼすのかを知らないと、二つ目が達成できない。
だから「恐れろ」ってことか。
「Deも、そnnなコtoかangあetaことがnai方gataがほとndoですから」
「修得できた人があまりいないってことか。でもどうやって自然の脅威を知るんですか?」
「aA、dAンジョンNi行くnndeすよ」
この世界にはいくつか【原点遺跡】がある。そこには沢山の宝があるが、スキル持ちの魔物ーー通称【異物】ーーがいるらしい。
一番弱いところで、一番弱いスキルを持つ【異物】と戦う。それにより、自然の脅威を知り、恐怖を抱き克服する。そうすることでスキルを身につける。
これがこの世界の普通だそうだ。
しかし、【原点遺跡】は危険区域。一番弱いといえども、トラウマになってしまう者が多々いるという。その結果、スキルが扱えず消えてしまったり、【魔力暴走】が起きたりする。
「スキルって消えるんですか?」
「よっぽdoのことganaい限りはAりまsenが、JIREIはありmaす」
原理は分からないが、突然消えて使えなくなるらしい。他にスキルが無かったら【加護無し(ダスト)】と蔑まれ続けることになる。スキルは神様の加護の証なんだと。恐ろしい。
持つスキルによって起こる【神子差別】というのもある。
例えば魔族種。ある一人の【吸血鬼】が【陰陽】を持っていたとする。これは光と影を操るスキル。つまり、日光と同じ光を作り、操ることも可能なのだ。どこの世界でも日光が嫌いな【吸血鬼】は、差別をするようになる。
他にも霊族種の【風精霊】が【突風】以外のスキルを持っていて、差別され殺されたということもあったらしい。
怖いよ。差別怖いよ。
でも、コレなら俺すぐに使えそうだ。
火の怖さならちっさい頃に火傷しているし、身をもって知っている。【陰陽】は難しそうだから、いつか使い手さんを見つけて教えてもらいたい。とりあえず、今は【発火】を習得してしまおう。
と、いうわけで。
「デッカい川だなぁ」
近くに流れている川に移動しました。火事とか起きたら大変だし。
そこらで集めてきた枯れ葉と枯れ枝を、焚き火のように並べる。まずは火の粉からやってみよう。
魔導書によれば、魔法を使用する際に魔力を用いるらしい。魔力は身体中に流れているっていうから、イメージは血液やリンパか。
魔法に変換するには、一部の魔力を媒介に流す必要がある。普通は杖などを使うようだが、別に無くてもいいのでは?まあ、念の為に木の枝を使おう。
はい、じゃあイメージだな。身体中にデッカい川が流れていて、持っている木の枝に向かって支流に一部の水が流れている。
呪文は無しで。読めないし、この世界の神様とか信じてないし。別に無詠唱でもイケるって書いてた。上級者のみって話だけど、気合いで頑張ろう。
………アレ?
「こっからどうやって火になるんだ?」
魔力は集めた。木の枝に何かがいる感じがする。でも、ここからが分からない。水でイメージしたからか?火になる想像がつかない。
いや、水じゃなくて別の物でイメージしたらいいのか。水みたいだけど、水じゃない物。
「よし、油で想像しよう」
川みたいに流れて、木の枝に溜まって、それがボワってなる感じ。自然発火とかよくあるし、イメージは間違っていないと思う。
「………あれ?」
できない。
何が間違っているんだ?今までスキルを使う時に何をしていたっけ?
ポケットから石を出して確かめる。
《発動条件》
【転移】「もうダメかもしれない」
【錬金術】????
「発動条件か……」
何かセリフがあるのかもしれない。考えろ。考えたら分かるはず。口癖とかあったはず。
………………何も浮かばないぞ!?
【発火】が覚えられなかったらどうしよう。攻撃が出来ないし、焼き芋も作れない。それは困る。火は必要だ。
…これはやはり、呪文なのか?ロクに読めないのに?この世界の神様なんて名前すら知らねーのに?え、これ詰んだ?
「俺オワター?」
キィィィーーーーーカッ!
「え、なにこれ」
目の前の薪木がいきなり光って、木製の升になった。酒飲めってこと?俺未成年だぞ。
これってアレだ。どこかで見たことがある。昔あったアニメの、主人公の兄弟が得意とする。
「【錬金術】?」
もう一度石を取り出して確かめる。
《発動条件》
【転移】「もうダメかもしれない」
【錬金術】「俺オワタ」
「まさかの!」
俺って諦めたら出てくるセリフで発動するもんばっか!
まさか、【発火】もなのか?でも口癖なんて思いつかないし。ソレっぽいの言っていくか。
升が自然発火して、灰になるまで燃え続けるのをイメージして。
「もう諦めよう」
シーン……。
「やーめた!」
シーン……。
「俺もう疲れちゃったよ」
シーン……。
「人生諦めが肝心」
シーン……。
「俺もうムリぽ」
ボワァッ!
「あっぶねぇ!」
合ってた。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるってな。
さっき出来た升が青く燃えだした。灰になるまで、炎が弱まる様子はなかった。
またまた石を取り出して確かめる。
《スキル》
【転移】【錬金術】【発火】
「ぅおっしゃあ!」
やった。習得できた。やればできるもんだな。簡単な発動法だし。口塞がれたらどうしようもないけど、そん時はそん時。
この調子で他の属性魔法も覚えちまうか?すっごい変な人に思われるけど。
「っ、!」
あー、わすれてた。
俺って魔力少ないのかな。めっちゃ気持ち悪い。これ【魔力枯渇】だろ。頭がクラクラする。
うん。まずは【発火】を使いこなしてからだな。どんくらい使えばいいか分かんないけど、上手くいけばファイアボールって出来るかも。火炎放射が出来るように頑張ろう。
「……ん?待てよ」
そこら中のものを【錬金術】で粉末状にして、【発火】で火を点けたら。
「これ以上はいけない」
粉塵爆発。一歩間違えたら俺まで巻きぞえ食らうからヤバイ。
それに、どことなく見たことがあるような気がする錬金術師になりそうなのでやめます。
試験があるので投稿休みます