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第6話 左手の法則とか何かあったよなぁ?

大変お待たせしました。

子供がインフルAにかかり執筆する時間が無く遅くなりました。

更新が不定期で申し訳ないですが、今後ともよろしくお願いします。

「はぁ……、ずっと床に座ってても仕方ないよなぁ」


 結構な時間、冷たい石の床に座っていた所為で、春人のお尻は大分冷えてしまっていた。

 春人は誰もいない部屋で一人呟きながら立ち上がり、どうするのかと思えば再びベッドに腰掛けて座り直していた。

 しかも、わざわざシーツを肩から被り包まって、動く気は微塵もありません! を体現する始末。

 挙句、そのままベッドに横になって、先程見た石板の事や自分の状況について考えていた。


 んー、やっぱり文系お姉さんが勇者とか言ってたし、副団長って怖い人も勇者に頼って〜とか言ってたから、やっぱり異世界に勇者として召喚されたってセンが濃厚かなって思う。

 あの石板がどれくらい信用出来るのか分からないけど、『種族:異世界人』ってのも裏付けになりそうだしね。

 しかし、異世界人が種族って、どうツッコミ入れたら良いのやら……。


 でも、何でよりにもよって俺が勇者なんだろ?

 いや、まぁ、ラノベやらアニメやらで異世界召喚とか異世界転生って好きだったし、異世界があるなら俺も行ってみたい! とか思ってたから、実際に異世界来れたかもしれないってのは万々歳なんだけど……。


 でもなぁ〜、やっぱり、やっぱりなぁ〜。

 …………このステはないでしょ!!!

 明らかに最弱だよね!!!!!

 やり直しをヨウキューする! やりなおせ〜、やっりっなっおっせ〜、や・り・な・お・せー! はぁはぁ。

 ホントに頼むからお願い! 出来ないならせめて帰らして! 帰ってゲームの続きしたい!!


 ゴホン、とりあえず他の事考えよう……。


 この石板も不思議だよなぁ。最初は何も書いてなかったと思うのに、今は俺のステイタスが表記されてるし。

 ステイタスが数値化されたり、それを見れたりするなんて、まんまゲームって感じだけどこの世界じゃ当たり前って雰囲気なんだよなぁ。あの二人も違和感なく石板見てたしね。

 ラノベとかでよく見かける鑑定石って所なんだろうと思う。

 ただ、気になるのは書いてる文字が日本語にしか見えないんだよね。

 あと不思議なのは、石板のスキル欄には漢字しか書いてないんだけど、その漢字を読むと、物質鑑定(ジャッジマテリアル)……。 漢字の読み方で発音しようとしても、何故か頭に響くのも口に出るのもジャッジマテリアルとしか発言出来なくなるんだよね……。

 この厨二仕様を強制されてる感じ、この歳になるとかなり恥ずかしいんだよね。

 まぁ、どうやっても拒否れないからそのまま読むしか出来ないんだけど……。


 あとは、スキルに鑑定を持ってるみたいだけど、鑑定スキルがチートとかそう言う話しもあったりするから使える可能性もなきにしもあらずって所かな? 使えるスキルになるまで時間かかったりとか、地雷スキルって可能性もあるけど、鑑定しかない今の俺ってすごく微妙なんだよねー。

 レベル表記も1だし、絶対役に立たない方のやつな気がするよー。

 まぁ、後でどうやったら使えるか少し試してみるけどさ。


 それから、最近のラノベじゃ召喚されたらその国の騎士と一緒にレベリングしたり、勇者育成プログラムみたいなのあったりするじゃん?

 なに? あれ? 何処へなりと失せるがいい……。

 勇者捨てられたよ? レベリング? ナニソレ?

 勇者捨てられたよ?

 勇者捨てられました!!!!

 ……大事な事なので何度でも言いますよ!


 しっかし、異世界から勇者呼ぶって事はやっぱり邪龍やら魔王やら邪神やらーー国とか世界とか滅びそうだから倒してって可能性が高いよね? というかほぼ確定? ーーいやいや、単に面白そうだから勇者呼んでみよっか? ってノリで呼んだとか……は、ありえないよねぇ。

 副団長のあの様子だと今すぐ使える奴呼べよ! って感じだったよね? こんな無能の欠陥品いらねーよ!! って言い方されたし……。

 俺だって好きで来たんじゃないやい。どうせ無能ですよ……働かなくて生活出来るなら喜んでヒキニートやってる自信あるよ! 俺は!

 あの遺跡ヲタクで未だにラブラブなバカ親が音信不通で仕送りもして来ないから、し・か・た・な・く、働いてるだけだもん!

 って、さっきから色々脱線してるな……。


 まぁ、とりあえず、ちょっと鑑定使ってみるかな。


 えーっと、鑑定は、物質鑑定(ジャッジマテリアル)能力鑑定(ジャッジステイタス)の二つ。

 とりあえず、能力鑑定(ジャッジステイタス)で自分のステイタスが見れるか試そう。

 んー、試しにスキル名言ってみようか。


「ーー能力鑑定(ジャッジステイタス)!」


 春人はベッドから降りて立ち上がると、少し腰を落として、指を広げた右手を前に突き出しながらスキル名を叫ぶ。

 叫んだあとで春人は少し顔を赤らめた。

 誰も見ていなかったとはいえ、ポーズまで決めてスキル名を叫んでる自分が、かな〜り恥ずかしかった。


 スキル名を叫んで、顔を赤くしたのと同時に春人の目の前の空間に情報が表示されていた。


 ーーーーーーーーーー

 名前:桜雷(サクライ) 春人(ハルト)


 HP:33/33

 MP:3/4

 ーーーーーーーーーー


 ……アレッ? ……あっ、あれっ? これだけ??

 イヤイヤイヤ、……まじ……で?

 使えるのは使えたけど、名前とHP、MPしか分からないじゃん!

 あぁ、でも、HPやMPが分かるのは少しありがたいかも。まぁ、Lv1だし最初はこんな物かもなぁ。あんまり期待してなかったのもあってショックは殆ど無いかな。ーーホントだよ、期待なんかしてなかったんだからね!


 ついでに、もう一つの鑑定も一度使って効果を見ておいた方が良いか。


 えっと、今度は恥ずかしいポーズとか無しの方向で……、スキル名だけ言ってみよう。

 で、何を鑑定しようかな?

 とりあえず、部屋にあるベッドでも鑑定してみるか。


物質鑑定(ジャッジマテリアル)


 春人がスキル名を言葉にすると、先程と同じように目の前に情報が表示される。


 ーーーーーーーーーー

 名前:寝具

 ーーーーーーーーーー


 はっ? ……えっ? ナニソレ?

 エッ? 寝具って……、ないわあぁぁ〜。

 いくら何でもそれはナイわぁ〜。


 鑑定しなくても見りゃ分かるじゃん!

 しかも、結果が『ベッド』じゃなくて『寝具』て!!

 どんだけ広義で雑な鑑定だよ!

 まだステイタス鑑定の方が使えるわ!!!


 ーーん? ……んん〜? ……ステイ……タス?


 ステイタス鑑定と口走った所で、春人はさっき見たステイタスが何か変だったような違和感を感じて悩み出す。


 そういえば、さっきステイタスに何か違和感なかったか? んー、何か変な所があったような無かったような???


 あぁ〜、思い出せないや……。仕方ない、もう一回ステイタス鑑定してみるか。


 そして、春人は再び能力鑑定(ジャッジステイタス)を使用する。

 どれどれ……。


 ーーーーーーーーーー

 名前:桜雷(サクライ) 春人(ハルト)


 HP:33/33

 MP:1/4

 ーーーーーーーーーー


 ん? んん? ーーMP減ってる!!!!!

 えぇ? 何で? まさか……まさかねぇ……。

 イヤイヤ、流石にそれはないって……。


 鑑定でMP消費したって事か?

 能力鑑定(ジャッジステイタス)が2回に、物質鑑定(ジャッジマテリアル)が1回ーー合計3回でMPの消費が3……計算は合うよね……。

 鑑定1回でMP1使ってるって事かよ!! つ……つかえねぇー!

 こんなんじゃ、鑑定のレベルすらあげられないんじゃないか? 他の魔法覚えたところでそっちに割けるMPもないし!


 なんか、やればやる程哀しくなってくるな……。

 パラメーターも低くてダメ……。

 スキルも使えるレベルじゃなくてダメ……。

 それ以前にMPなくてスキル使うとか、鑑定レベル上げるとかもダメ……。

 あぁ、こんなにダメな子でこれからどうすれば……。


 そこまで考えたところで、部屋がビリビリと激しく震え天井から細かい石の欠片が降って来る。


「さっきからたまに揺れたりしてたけど、なんかヤバそうな感じだよな……。天井崩れたりしないよな?」


 春人は天井を見ながら呟くと、部屋に自分一人しかいない事を再認識し、それを自覚した事でいいようのない不安を感じ始めていた。


「ずっとここに居ても誰も来なさそうだし、天井崩れて生き埋めなんてのも嫌だしなぁ。仕方ない、外に出れば誰か居るかもしれないし、安全な場所に逃げられるかもしれないから行くか。……っと、石版石版、一応これも持って行こう」


 春人はようやく重い腰をあげ石版を手に取ると、先程二人が出て行った扉のノブへ手をかける。

 ドアノブをゆっくり回して少しだけ扉を開くと、春人は扉の隙間から外の様子を伺った。

 外に誰も居らず、危険も無さそうだと判断すると、扉を開け放ち春人は部屋の外へ出る。


 部屋の外は石造りの廊下で、窓一つ無く建物の外がどうなっているのかも分からなかった。

 よくよく思い出せば、部屋にも窓が無く外が見えなかった事に気付く。窓が一つも無いんじゃ換気とかどうしてるんだろ? と考えながら春人は廊下を見回す。

 廊下は右と左に真っ直ぐ続いており、突き当たりの壁や曲がり角が見えない事から、どちらもかなり長く直線に続いているようだった。

 さっき出て来た扉側にだけ、間隔を空けて同じような扉が付いているのが確認出来たので、さっきまで居た部屋と同じ部屋が幾つかあるんだと推測出来た。


「とりあえずどっちに行けば良いのかな?」


 右か左、どっちに進むべきか少し悩んだが、春人は左の道へと進み出す。


「左手の法則とか何かあったよなぁ? とりあえず左に沿って進むかな。そのうち外に出れるだろ」

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