第48話 厄介事ばかりじゃの
相変わらず更新遅くて申し訳ないです、って最近謝ってばかりな気がします。
今回感想頂けて、かなり嬉しくてテンション上がってましたが、夏バテしてグッタリバタンキューしてました……。
ダメダメですねぇ……。
「今さっき、見張らせてたガキから連絡があったが、2人で冒険者組合に向かってるようだ」
薄汚れた黒いマントとフードに、口元に布のマスクで顔まで隠した、数名の如何にも怪しい男達が路地裏に集まっていた。
「待ちくたびれたぜ! いい加減我慢も限界だぜ、早く犯っちまおうぜ!」
「あぁ、俺も我慢できねぇよ。早くあの上玉を味わいてぇぜ」
「あれだけの上玉だ、売ればかなりの額になりそうだしな……」
「ちょ! おいッ待てよ! すぐに売るとか無しだぜ? 売るならたっぷり飽きるまで楽しんでからだ!!」
「そうだな、飽きるまで楽しまねぇとな、ぐヘヘ」
「……俺は、もっと胸が欲しいねぇ、やっぱ顔が埋まるくらいは胸がねぇとなぁ」
「お前は相変わらずだな!」
ハハハと男達の下卑た笑いが路地裏に木霊する。
「まぁ、楽しんだ後で売るなら構わねぇが、金は山分けだからな! お前らのパーティだけでガメるなよ!」
「あぁ、金にしたら等分で分けてやるよ。まぁ、俺達全員の相手して、壊れてなきゃ良いがな」
そらそうだと男達がハモりながら、これから始まる楽しい快楽の時間に思いを馳せる。
いよいよ抑えきれなくなった欲望を胸に男達が歩きだそうとした時、ふいに誰かが質問した。
「これから襲う、2人の名前、なんだったかな?」
「あー、名前なんてどうでも良いだろ……」
「あの上玉は、ルウだろ? 男は興味無いから知らんが……」
「なるほど。……君達はこれからルウって名前の女の子を襲う訳だ。それさえ聞ければ君達に用はないな」
「ああん、キザってぇ話し方しやがって、誰だてめぇはよぉ」
いつのまにか男達の後ろに混じっていた誰かが、自分達の仲間ではないと認識し、各自獲物を手に警戒しながら囲い込むように移動する。
「前にも言ったが……。ルウさんに手を出すなら、僕が相手になると、そう警告したね」
そう言いながら、被っていたフードを脱ぎさり、夕陽に輝く銀髪が煌めく……。
「なッ!! 銀騎士ィぃぃ!」
「クソッ、何でヤツがここに!」
「マジかよ! ど、どうする?」
男達の間に、迷いと怯えが蔓延し、皆一様に切っ先を少し下げ、数歩後退る。
「どうもこうもねぇ!! 殺るしかねぇッだろ!」
男達のリーダーらしき男が激を飛ばし、それに触発された男達が獲物を構え直し態勢を整える。
「そうだ! こいつさえやりゃあ、後はお楽しみだけだ!」
「あぁ! 相手は1人だ! この人数なら殺れるぜ!!」
「やっちまえぇ!!」
男達は、4人と5人に別れ、銀騎士を挟み込む形で囲いを狭める。
しかし、銀騎士は剣を抜く事もなく、ただその場に立っていた。
「舐めてんのかぁぁ!! それとも、ビビって動けねぇのかぁ!」
そう叫んだ男が、手にした短剣を片手に銀騎士へと走り込む。
同時に、銀騎士の背後からも長剣を手にした2人がタイミングを合わせて斬りかかる。
「ここで、死ねぇ!」
前後合わせて3つの刃が、銀騎士へと同時に襲いかかる。
刹那、3つの刃は空を切り、3人の男はたたらを踏んで勢いを殺す。
「あ? クソッ、どこに消えた!!」
「は!? ア?」
間の抜けた声を出した男が膝から崩れ落ち、地べたに倒れこむ。
「お、おい! どうし、ガッあ……」
倒れた男に声を掛けようとした男が、突然白眼を向いて横倒しになった。
「なんだ? どうなってる!?」
男達は周囲をキョロキョロと見渡し、状況を把握しようと必死だ。
「君達では、何人束になったところで僕に触れる事すら出来ないよ」
突如声が聞こえ、男達は一斉に声のした方に顔を向ける。
「銀騎士ィィ、てめぇ、何しやがった?」
「少し寝てもらっただけだよ。君達にも眠ってもらうよ」
言葉が終わると同時に、銀騎士の姿は掻き消えて、男達は目標を見失う。
ガッ、ぐえッと声がする度に、1人また1人と倒れていく。
男達は、銀騎士の姿を捉える事さえ出来ず、数瞬後に立っていたのは銀騎士1人となっていた。
「フゥ、これで終わりかな? 暫く目は覚まさないだろうし、彼らの処分は冒険者組合に任せよう……」
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「まったく、最近の若いもんはなっとらんな! もうちっとマシな冒険者はおらんのか」
「マスター、年寄りくさいですよ」
「年寄りくさいとはなんじゃ、年寄りくさいとは……」
この肌艶を見てみぃ……、などと話し始めた妙齢の女性を放置して、秘書らしき女性が、椅子に座り成り行きを見守っていた銀騎士へと話しかける。
「この度は迅速なご対応ありがとうございました。 事が起こる前でしたので大事にならず、内々で処理出来そうです」
秘書の女性は、丁寧に頭を下げ礼を述べる。
「いえ、僕としても知り合いが被害に合わずに済んで良かったと思っています」
「ウォルフォード様の様な方が、冒険者組合に所属して下さり、とても心強いです」
「それで、今回の件に関してですが……」
「えぇ、ウォルフォード様の要望通り対処させて頂きます」
一つ、冒険者ルウを攫おうと企だてた冒険者パーティの解散、及び除名と投獄。
一つ、冒険者各位へ、犯罪を犯した際の処分内容や抑制に関する通知を行う。
一つ、冒険者ハルト、並びに冒険者ルウへ害が及ぶ場合、銀騎士アークライト・ウォルフォード が介入するという噂の流風。
一つ、冒険者ルウの容姿が危険を招くと、冒険者ハルトへ冒険者組合側からさり気なく注意勧告する。
以上が、銀騎士アークライト・ウォルフォードが冒険者組合へ出した要望の概要である。
秘書の女性は、要望を再度確認すると、隣にあった資料に視線を落としたまま疑問を口にする。
「もし、差し支えなければの話しですが……。ウォルフォード様は何故この2人を気にかけるのですか? ルウ様は高レベルの魔法使いですし、将来に期待されてと言った事もあるかと思いますが……。こちらのハルト様は……、何故かレベルも1ですし、ランクもFで、とても将来性があるようには思えませんが……。あ……失言でした、お気に障りましたらご容赦願います」
銀騎士はゆっくりと首を左右に揺らし否定を示すと、落ち着いた口調で言葉を紡ぐ。
「いえ、特に他意はありませんよ。ただ、敢えて申しますと、友人として出来る手助けはしておきたいと、そう、思う気持ちから……、でしょうかね?」
「そうですか……、わかりました」
「それでは、僕はこの辺で外させて頂きます」
銀騎士の言葉を受けて、妙齢の女性が自分の世界から帰還すると、衣服を整え、引き締めた表情で謝意を述べる。
「うむ、今日の件は組合長として感謝の意を述べておく、そなたの今後の活躍を期待する」
「ご期待に添えるよう、努めて参りたい所存です。それでは、これにて失礼させて頂きます」
銀騎士が退室した部屋で、2人は再び資料に視線を向ける。
「かの銀騎士が自ら動く程の何かが、この2人にあると言う事か……?」
「マスター……、如何致しましょうか?」
「ふむぅ、暫くは、様子見じゃな……」
「了解しました」
「やれやれ、魔女に難民に銀騎士……。次から次へと厄介事ばかりじゃの」
妙齢の女性は、自分の椅子に深く腰をかけながら、深い深い溜息を吐いた。




