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第42話 そりゃぁないわぁー

ブクマありがとうございます。

前話の投稿も、だいぶ久しぶりになってしまいましたが、それでも沢山の方に読んで頂いているようで嬉しく思います。

読者の皆様方を思うと、もう少し頑張らないといけないなって気持ちになりました。

例え少しずつでも頑張って書いていきますので、これからも見守って頂けたら幸いです。

 冒険者登録が終わって、巨乳ちゃんから説明を受けたルウが国家証(キングダムパス)を受け取った。


 そういえば、国家証(キングダムパス)って裏面にステイタス表記されてたな……。

 ルウのステイタスって、いったいどうなってるんだろ?

 気になるな……、かなりキニナルなぁ……。

 いや! すっっっごい、キニナルわ!!

 気になって仕方ないわ!!

 ルウのステイタス見せてもらおうっと。


「ルウ、それ、ちょっと見せてもらっても良いかな?」


 俺がそう言うと、ルウは無言で国家証(キングダムパス)を渡してくれた。


「えーと、どれどれ……」


 まずは表からっと……。


 ーーーーーーーーーー

 ブライス帝国・国家証(キングダムパス)

 冒険者ランク:E

 名声値(フェイムポイント):0

 名前:ルウ

 職種:魔法使い

 ーーーーーーーーーー


 …………

 ………………えぇーと。

 なんか、目から汗がでそうだ……。

 おかしいなぁ、暑くなんてないのになぁ……。


 うん、深く考えるのはよそう。

 まぁ、そりゃね、普通はそうなんだよ。

 ふつーは、Eランクなんだよ。

 これが普通なんだよ、そうそう普通、普通。

 ハハハハハ……はぁ。


 ここは喜ぶべきところなんだろうけど、なんだかなぁ。

 ルウに先越された感が……、すごく自分が情けなく感じるわ。

 まぁ、いいや。次いこうか、次。

 見たいのはこっちの方だしな。


 そう気を取り直して俺はルウの国家証(キングダムパス)をひっくり返してーー。


 絶句した!!


 そこに書かれていたのはーー。


 ーーーーーーーーーー

 Lv:18

 HP:34/34

 MP:135/135


 筋力:9

 体力:19

 魔力:30

 速力:21


 技能:水青技能(アクアアビリティ) 水圧(アクアプレッシャー)

 ーーーーーーーーーー


 レ、レレ、レベルが! レベルがぁ!!

 18!?

 え? 18?? え? ルウってレベル18もあるの?

 まさか、大鼠倒してレベルあがったとかか?

 なんで、18も……。


 ーーいや! まて、まてまてまて。

 おかしい、それは絶対おかしい……。

 やっぱりルウは最初からレベル18だったんだ。

 だって、だってだってーー。


 ここに、見覚えのある数字が、あるんだもん……。


 ここ。これだよ、コレ。


 HP34/34

 MP135/135


 だってコレ、俺がルウの名前調べようとして鑑定使った時と同じ数字だろ?

 もし、レベルがあれから上がってたとしたら、両方共1ポイントも増えてないなんてありえないだろ?


 なら、ルウは初めて会った時からレベル18だったって事だろ。

 これは、記憶を失くす前のルウを知る手掛かりになるんじゃないのか?

 もし普通に街で暮らしてたなら、レベルってもっと低いんじゃないのか?

 ルウは魔法だって使えるし、どっかで魔法を習ったり、魔物と戦ったりした経験があるって事じゃないのか?

 もしかしたら、冒険者だったって事もあるんじゃないのか?

 あぁ、どうにかして確認とか出来ないのかなぁ。

 せっかく冒険者組合にいるんだから巨乳ちゃんに確認してみるか。


「ごめん、ちょっといいかな?」


「はい? どうされましたか?」


「えっと、どう聞けばいいかな……。今、ルウの登録してもらったんだけどさ。ルウって前に冒険者だったかどうかって、調べたりする事って出来るの?」


「調べられますよ」


「まぁ、無理だよね。皆偽名とかニックネーム使ってるし、前も同じ名前って限ら……。って、ええ! 調べられるの!! マジで! 調べて、すぐ調べて!」


「えと、少し落ち着いてください」


 俺が鼻息荒く興奮して捲し立てたせいで、巨乳ちゃんはかなり引き気味になりながら落ち着くよう促してくる。

 まだ興奮冷めやらないが、周囲の冷たい視線を感じて漸く少し落ち着いてきた。

 いや、ほんと、興奮してスミマセン。


「先日、ハルト様を登録した際にも少し説明させて頂きましたが。国家証(キングダムパス)を紛失した場合に再発行出来る旨の話しをした事を覚えていらっしゃいますか?」


「あぁ、なんとなく覚えてる」


「なんとなくではなくて、ちゃんと覚えておいてくださいね」


「いやぁ、ごめんごめん」


「はぁ。まぁ、いいですけど。あまり難しい話しをしても仕方ないので簡単に説明しますが、国家証(キングダムパス)は魔法契約によって個人の魔力紋を記憶しているため、例え国家証(キングダムパス)を紛失して再発行した場合でも、魔力紋から組合の記録を照合して前回記録時の物を発行する事が出来ます。その為、例え名前を変えて新規で登録しようとしても、以前に記録した時点の物が発行されてしまうため、偽装は不可能となってます。今回、ルウ様は新規で登録されましたので、以前冒険者だったという事は無いという事になりますね」


「…………えっと、ごめん。よくわからなかった」


「……あ、申し訳ありません。簡単に説明しすぎましたか……」


「いや、そうじゃなくて、……何言ってるのかさっぱりで」


 …………

 沈黙、巨乳ちゃんが固まってしまって気不味い空気が辺りを支配する。

 いや、でも仕方ないでしょ。何か専門用語を並べて話されても、俺には意味がよくわからなかったんだから……。


「……要点のみを申し上げますと、ルウ様の記録が組合に存在しない為、過去に冒険者であった事はありません。これがハルト様の知りたい内容だと思いましたが、大丈夫でしょうか?」


「あ……、あぁ、それなら理解出来るけど。そういえば国家証(キングダムパス)って国毎に発行しないといけないんじゃなかったっけ? ここでは記録無くても、別の国では記録があったりとかしないの? 別の国で冒険者やってたら、この国に記録が無いからって絶対に冒険者では無かったとは言い切れないんじゃないのかな?」


「そういう変な所は頭回るんですね……」


 ん? 今良く聞き取れなかったけど、何かすごーくディスられた気がして仕方ない……。


「えっと、ごめん、今良く聞き取れなかったから、もう一回言ってくれるかな?」


「いえ、独り言ですのでお気になさらずに。先程ハルト様が疑問を感じた事に関してですが、国家証(キングダムパス)を国毎に発行しているから別の国の事は分からない、といった内容でしたが。国毎に存在する組合事務所は現場の管理を任された支部であり、それとは別に、全ての国の冒険者情報を一括管理している本部が存在するのです。先程述べた記録とは、本部が管理する記録であり、全ての国を跨ぐ記録となっています。そのためーー」


「記録が無ければ元冒険者ではあり得ないって事か……。わかった、やっと理解出来たよ。ありがとう」


「……いえ、分かって頂けたなら結構です」


 あれ? 何か怒ってる? 俺何か怒らせる事したっけ?

 んー、女の子のこういう所って、ほんと良く分からないなぁ。

 まぁ、怒ってるっぽいし早く退散した方が良いかもな。


 俺は巨乳ちゃんにもう一度お礼を言うと、ルウと一緒に窓口から離れホールの隅に移動する。

 少し落ち着いた所で、俺は再びルウの国家証(キングダムパス)を確認した。


 それにしても、やっぱりルウは謎だらけだ。

 城の中に居た事も謎だけど、一般人とは到底思えないレベルに、大鼠を瞬殺した魔法もそうだ……。

 明らかに普通じゃないし、分からない事だらけだ。


 このステイタスだって俺と比べたら遥かに高い数値だ。

 筋力は近い数値だけど、それでもルウと力比べしたら俺が負けてしまうんだろう……。

 こんな小さい女の子に力負けするとか、すごく情けない話しだけど……。

 体力だって俺の2倍以上あるし……、だから俺がへたばってもルウは平気な顔してたのかって今になって思う。

 魔力なんて言わずもがな、速力だって全力で走ったら俺の3倍のスピードが出せるって事だろ?

 どこの赤い奴の話しだよ? 確かに瞳は赤いけどさ……。


 あぁーあ、何か数値で見せつけられるとホントショックだわぁ。

 いや、ルウが凄そうってのは何となーく勘付いてはいたよ?

 だって、魔法がアレだし、俺と一緒に走っても息も乱してなかったし……。

 でも、さぁ……。

 見た目は小さい女の子なんだよ?

 男としては守ってあげたいって思うのが心情だろ?

 ましてや好きで好きで堪らない相手だよ?

 好きな子を守れる男になりたいのに、相手の方が俺より強いとか……、そりゃぁないわぁー。

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