ある後日譚
♢
数日後、僕はりっちゃんのお墓に行った。
お墓は相変わらず綺麗だったけど、違う事が一つあった。
墓前に、白いクマのぬいぐるみが置いてあったのだ。
確か、これはりっちゃんにあげたはずのぬいぐるみだ。僕は、お参りをして、そのぬいぐるみを持ち上げた。
腕の所に、お守りが結びつけてあった。布はもうよれよれになっていて、みすぼらしく汚れていた。
でも、確かに、誰かがこれを大切にしていた事だけは、解った。
お守りが、妙に柔らかい。結んである紐をほどいて、中を覗き込むと、紙切れが一枚、折らずに入っていた。
もう二度と謝ったりしないで
楽しく生きて
律
僕は、思わず空を見上げてしまった。
僕は謝ろうとしただけだけど、もっと他に、伝えなきゃ行けない事があったのだ。
りっちゃんのおかげで、僕はこうして生きている。それも、まぎれもない事実だ。それなのに、僕は、自分の罪をを雪ごうとばかりして。
恥ずかしさよりも、何よりも先に、悔しさだけが訪れた。
りっちゃんは、こんなにも僕を思ってくれていたのに。りっちゃんは、こんなにも僕の幸せを願ってくれていたのに。
僕は、自分の事ばっかりだ。
お墓の方を向こうとしたけど、止めた。僕は、空を見上げたまま、ぽつりと呟いた。
「ありがとう」
風が吹いて、僕の声をどこかへ運んで行った。
秋の始まりの空は、思ったよりも、高かった。




