表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翼の話  作者: 杉並よしひと
26/26

ある後日譚

 数日後、僕はりっちゃんのお墓に行った。

 お墓は相変わらず綺麗だったけど、違う事が一つあった。

 墓前に、白いクマのぬいぐるみが置いてあったのだ。

 確か、これはりっちゃんにあげたはずのぬいぐるみだ。僕は、お参りをして、そのぬいぐるみを持ち上げた。

 腕の所に、お守りが結びつけてあった。布はもうよれよれになっていて、みすぼらしく汚れていた。

 でも、確かに、誰かがこれを大切にしていた事だけは、解った。 

 お守りが、妙に柔らかい。結んである紐をほどいて、中を覗き込むと、紙切れが一枚、折らずに入っていた。



 もう二度と謝ったりしないで

 楽しく生きて              

                     律


 僕は、思わず空を見上げてしまった。

 僕は謝ろうとしただけだけど、もっと他に、伝えなきゃ行けない事があったのだ。

 りっちゃんのおかげで、僕はこうして生きている。それも、まぎれもない事実だ。それなのに、僕は、自分の罪をを雪ごうとばかりして。

 恥ずかしさよりも、何よりも先に、悔しさだけが訪れた。

 りっちゃんは、こんなにも僕を思ってくれていたのに。りっちゃんは、こんなにも僕の幸せを願ってくれていたのに。

 僕は、自分の事ばっかりだ。

 お墓の方を向こうとしたけど、止めた。僕は、空を見上げたまま、ぽつりと呟いた。

「ありがとう」

 風が吹いて、僕の声をどこかへ運んで行った。

 秋の始まりの空は、思ったよりも、高かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ