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決めなきゃ人生変えられない!  作者: 空橋 駆
後日談 惚気てばかりじゃいられない?
12/13

その1 それなりに有意義な一日

とある休みの事……


「相変わらず可愛いわね、彼氏が居るからかな?」

「それとこれとは関係無いのでは……」


お姉さんの家に遊びに行ってみました。

まあ、呼び出されたと言う方が近いのだけど……


「服とかアクセサリーとか本当は譲ってあげたいんだけど、

 どれもあなたには似合いそうに無いのよね……」


もちろん、良い意味で……とお姉さんは言う。


「だって可愛らしい方が絶対に似合うもの!」

「着せ替え人形はんたーい!」


私は出来る範囲で暴れてみるんだけど、

見事なまでにお姉さんに抑えられてしまった。

手馴れているというか、何というか……ね。


「楽しいから良いじゃない」

「楽しんでいるのはお姉さんだけですよっ」


こういう事です。数回一緒にショッピングをしてたけど、

お姉さんに良い具合に着せ替え人形にされて困っています。


「彼に可愛らしい格好で迫ってみても良いと思うわよ?」

「そ……そんなの……ううっ……」


笑顔で提案されたけど、そんな勇気なんて湧いてこないというか、

むしろ勇気を振り絞っちゃった方が駄目だと思うので、

とりあえずお姉さんの言葉は受け流して……


ごめんなさい、それも良いかもって考えて、

凄く動揺してる……収まって、私の心!


「心では自制しているつもりでも、

 何処かで気持ちが求めているはずね。

 もう少しだけ、積極的になってみたら?」

「そ、そうなのかな……」


ちょっとだけ、納得してしまった。


「そうと決まれば可愛らしい服を買うのよっ!」

「え、ちょっと、待って……」


そして、そんな淡い淡い誘惑の言葉に乗せられて、

昨日もちょっと長い時間連れまわされました……

月一回の恒例になりかけているので考えた方が良さそうです。



でも、一番困るのは……

その後の彼とのデートなのです。


「可愛い……な……」

「うん、ありが……と……」


あの後買ってもらった服を着て、

彼と一緒に歩こうとしていたのだけど……

毎回毎回顔を真っ赤にしてまともに話し出せなくなってしまう。

もっと色々な事話して感想とか聞かせて欲しいのに……


「服、買ってもらったのか?」

「そうだよ」

「アクセサリーも含めて?」

「これは昔から持ってる物で、母から貰った物なの。

 私は価値なんてよく知らないけどね」


私は彼に、ネックレスを軽く持って見せた。


「見る人が見れば、それなりに良い価値だと思うぞ……

 というか、間違いなくそれは高いものとしか思えない」

「うん、私もそう思うから……

 あなたと居る時しかつけないの」

「そ、それは嬉しいね」


頬が真っ赤。照れてる姿を見ると何かとっても嬉しい。

あ、元はといえば私の言葉の方が原因だよね。


「ふ……服も、本当に似合ってる」

「あ……ありがとう」


手を繋いでいるのに、上手く目を合わせて話せない。

デートして、楽しい一日になるはずなのに。

詰まらない訳じゃなくて、嬉しすぎて困る。


「お姉さんに言われて気付いたけど、

 私達、本当に夫婦になるなら……

 あなたの両親にも逢っておかないと」

「両親か……確かに必要かもしれないな。

 ただ、近くに住んでいる訳ではないので、

 時間がある時にしか行けそうに無い」

「いつか、ちゃんと連れて行ってね」

「ああ、約束する」


本当に幸せです。

こんな毎日が続く……と思ったのに。


今回は久しぶりに意外な所から邪魔が入りました。

携帯には……弟くんの名前が。


「忙しい所すみません、義姉さん。兄貴は何処に居ますか」


いつの間にか弟くんは私を義姉なんて呼んでいます……

嬉しいけど、ちょっとフライングですよ?


「すぐ横にいます、代わりましょうか?」

「いえ、結構です。デートなら楽しんでください。

 お勧めは最近出来た人気の洋菓子店の……」

「うん、場所は知ってるから行ってくるね、ありがとう」


流石、この手の情報に妙に強い弟くんです。

今回は邪魔……じゃなくて呼び出しとかの緊急の要件ではなく、

単なる助言だったのでほっとしました。


でも、知ってますか?

女の子の情報網の方が広くて早いのですよ。


「なるほど、朝に色々と教えてもらったのだが、

 是非ともそこにも行ってみたいものだな」

「あら、弟くんに色々と聞いてるんだ」

「色々知ってるからな……

 少なくとも任務とかに振り回されていた俺よりは確実に」


そういえば、思い出したけど……

私をお祝いしてくれた時のケーキも、

美味しいと評判で売り切れ多発のコンビニスイーツの一級品だったよね。

美味しく頂いちゃったけど、あれも探してきてくれたのかな。


「甘い物には目が無い……とまでは行かないが、

 そんなに苦手とはしていないのは確かだ」

「兄弟揃ってそうなの?」

「ああ、まあ……

 お菓子作りが得意な人と付き合いがあるんだ、仕方ないだろう」


それを聞いて、やっぱり広い交友関係を持っているのかなと思った。

だけど、それよりも顔が苦笑いしている事の方が気になった。


「もしかして、私も知ってる人?」

「知ってるも何も……実物を見たらげんなりするぞ?」


そんな会話をしながら、私達はその洋菓子店へ向かった。

そして、思いっきり見かけてしまった。

楽しそうにそこでアルバイトをしているあの人の姿を……


「お菓子作り得意なのってお姉さんだったのね……」

「そうよ、勤務中だからあまり話してあげられないけど、

 今度の祝日くらいに家に来てくれたら、

 色々と話を聞いてあげるわよ、もちろん手作りのお菓子をつけて」

「そうだな……改めてお邪魔するとしよう」

「賛成です」


そう言って、二人で店を出た。

働いている所を邪魔してはいけない。

後で色々と聞かせてもらえると言っていたので、

その時まで待っていよう。


「さて、ここからどうするか」

「一緒に歩かない?」

「それでいいのか」

「それがいいの」


暫くの間は、二人でゆっくり話していたい。

そう思って、私達は手を繋いで近くの公園に向かった。


「夕日、綺麗だね」

「町中で見るのも、良いもんだな」

「校舎で見ても綺麗だよね」

「一緒に見ているときが、一番落ち着ける。

 安らぎを、ありがとう」

「こちらこそ、いつも何気なく護ってくれてありがとう」


私達は一緒にお辞儀しあった。

なんだか、とってもこそばゆかった。


「さて、時間も時間だ。

 あんまり遊んでばかりも行かないだろう」


彼が立ち上がって、私に言う。


「勉強の事は言わないで……

 私だって頑張ってるんだよ?」

「まだまだ結果には結びついていないだろう」

「うん……」


そんな簡単に成績が上がるなんて考えていないけど、

最近は少し、理解できる事も増えた気がする。


「解らない事があれば俺がしっかりと教えてやるから……」

「うん、ありがと」


こうして、私の成績は毎日の努力で引き上げられています。

恋人らしい事もっとしたいけど、それはそれ、これはこれ。


「私も色々と教えてあげられる事があればいいんだけど……」

「心配するな、いずれ機会はあるだろう。

 それに、生活の面ではむしろ手助けして貰ってるからな」


確かに、兄弟二人で暮らしている彼の手伝いを色々しているので、

それはそうかもしれない。

だけど、このままだと気分がすっきりしないので……


「それでも、いつも色々教えてもらってるお礼の気持ちを返したいから……

 明日のお弁当、楽しみにしててね」

「ありがとう、期待している」


そんないつも通りの掛け合いをしながら。

私の家に帰宅して、一緒に勉強して。


夜になって、一緒にご飯を食べて……

彼が帰宅するのを見送って。


いつか、一緒に暮らせたらいいなぁ……

そんな事を思いながら。

今日という幸せな一日が、終わるのでした。



翌日、電話にて……


「で、どうだったの?」

「ううっ……お姉さんの期待するような事はありませんでしたよ?」

「そうなの……残念」

「変な期待する方が間違ってるよっ!」


私が全力で抗議したのに、お姉さんの笑い声が聞こえます。


「だって、キスもまだなのに……」

「あら……初心なのね、二人とも」

「失礼です、一緒に居るだけでも幸せなのです!」

「そうね、大変だったものね」


お姉さんが頷いてくれていますが……

何か不安そうな顔をしています。


「そうね……

 少し、面白い事を思いついた」

「え……また悪巧みですか?」


お姉さんの”面白い事”って嫌な予感しかしないのですが?


「いいえ、真面目な事だから安心しなさい。

 ただ、準備に時間が掛かりそうだから、追々また話をしましょう。

 出来る事なら、隊長抜きの時がいいわね」

「また服の買出しとか……」

「ちょっと違うわ。とりあえず楽しみに待っててね」

「はい……」


何かとても、不安だけど……

とにかく、次に逢える機会がちょっとだけ楽しみになりました。

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