初本
そして、お別れ会の終盤に差し掛かったとき、クラス委員長の山本君からある本が私に渡された。どこかで見たことのある本だなぁー…みたくおもっていると、紗優が何故かにやにやしていた。
もしやと思い、作者の名前を見てみると、私の名前......小説のコードネームの「ミユキ」という名前が書かれていた。
深雪「......これさ、私がはじめてだした本じゃん。」
この本は私が一番始めに出した、ケータイ小説の文庫だった。
出したのは一月ほど前で、自分の本だからべつにいいかな?みたいな感じで思っていたのだが、まさか、紗優が、クラスのひとに広めたとかありえるよね......。
深雪「はぁ、わざと買わないでおいたっていうのに。ってか、広めちゃってくれたのって紗優でしょ...」
紗優「ハイハイ!細かいことは気にしないの!」
深雪「普通に気にするんだけど......」
私がそう答えると、紗優が教壇の所へもどっていった。
紗優「はいはーい♪次いってみよー!」
皆「「「イエーイ♪」」」
クラスの皆が盛り上がっているなか、私は思ったことがある。
このまま転校してしまって本当にいいのだろうか......。
小説のためならなんでもする私だが、ここまで広い範囲に
人たちに迷惑とかかけちゃうんじゃないかって、不安に思ってくる。
せっかくの友達がいなくなってしまって、向こうで悲しく小説を書いてることとなると、悲しく思えてきちゃうよね。
そのときーーーー。
?「大丈夫だよ」
ぼそりと呟かれた言葉は皆には聞こえていなかったらしく、私にだけだったみたいだ。他の皆はわいわいと騒いでいる。どこかで聞いたことのある声だった。
私は即座に紗優のほうをむいた。
紗優『だ、い、じょ、う、ぶ』
と口パクでいってくれたあと、紗優はクラスのわっかにもどっていった。
その言葉に安心したのか、私はこの最後となるお別れ会が終了になるまで楽しんだ。
もうひとつ、サプライズがあるといわれ、先生に言い渡されたのは、私が来週からいくことになる新しい学校の名前だった。
その名はーーーーー。
『十字京学園』