感謝
柏木「と、いうことよ。せいぜい頑張りなさいよ?」
深雪「あ、ありがとうございます!!」
私は、深々と柏木先生にお辞儀をした。
このときだけ、私は柏木先生が本物の女神様に見えた気がしたが、目の錯覚として受け取ってあげた。
そして、私はその後教室に柏木先生と一緒に戻り授業を抜け出してしまったことについて、こっぴどく叱られた。
それも、教室のみんなのいる目の前で……。
それと同時刻に私の転校の作業と手続きが着々と進んでいた。
いきなり転校するとなると、相当の心配や悲しみが生まれることは今の私には到底理解しづらいものだった。
柏木先生から、理事長や校長先生に、そして教師にまで話が広められていた。
今日は早めに帰った。
明日のお別れ会や私の転校先への準備やらいろいろやらねばいけないことがたくさんあったからだ。
柏木先生が親に伝えてくれるといっていたがそのことについてはやんわりとだけ断っておいた。
だって、私には、家族なんてものは存在しない。
ずっと、施設で暮らしていたから、家族なんてものはこの世に存在するのだろうか…など、不思議に思っていた。
まぁ、悲しい話になってしまうからここまでにしておこう。