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忌み嫌われ諦めていた【占いの館 ネムノキ】の魔女の扉を開いたのは、強面の騎士でした。  作者:


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4 リサの秘密



  『大体の場所が特定されました』

 私はペンデュラムが激しく反応していた場所へ、印をつけた。


 「もうわかったのか?」

 クラウン様は、椅子から立ち上がって私に尋ねた。

『ええ。リサに案内させましょう』

 私は立ち上がってクラウン様の前から去ろうとした。


 「リサ……とは、案内してくれた女性か?」

『そうです。リサと指輪を探しに行ってください。私の占いは終わりました』

 そう言って、こちら側しかない扉を開けて隣の部屋へ向かった。

 

 「あ、ああ」

 クラウン様は、ここで魔女の占いは終わり……だと言ったことに納得がいかなかったようだ。

 大体皆もそう思うようだが、全部魔女がやると後々面倒になるので()()にあとはやってもらう。


 クラウン様もこの部屋から出て、エントラスへ向かった。


 私は隣の部屋でたくさんのアクセサリーと、全体を隠すための布を急いで脱いだ。

 私は、【占いの館 ネムノキ】の魔女ライザ。

 そして、すぐ顔が赤くなりうまく話せないお手伝いのリサと、同一人物。

 ライザであり、リサでもあるのだ。


 占いの魔女ライザになると、別人のようになる。ライザとリサの、二重生活をしてきた。

 今まで見抜かれたことはない。


 「急がなきゃ」

 シワになった服を直して、髪の毛を整えた。

 鏡を見て、全身の身だしなみが乱れてないかチェックした。

 栗色の髪の毛は緩やかに波打っている。

 「よし」


 リサ用のローブを被り、部屋から秘密の通路を歩いてクラウン様が待つエントラスへ行く。


 「……お待たせ、しました。ライザ様より、地図を……預かりました。探しに……いきま、しょう」

 ローブを深く被り、顔を隠して外に出る。

 「ああ。お願いする」

 クラウン様は黙って私の後ろを付いてきた。


 「ライザ様の占いの結果。地図だと……。【占いの館 ネムノキ】から……、歩いて行ける、所です」

 「そうか。見つかって欲しい」

 私が所々うまく話せないことを馬鹿にせず、聞いてくれた。


 依頼者の人でうまく話せない私を馬鹿にしたり、からかったり、返事をしない人もいた。

 上手く話そうとすればするほど、上手に話せなくなっていた。

 この【占いの館 ネムノキ】で行商人さんや、占いを依頼してくる人しか顔を合わせなくなっていた。

 それは自分を守る為だった。


 

 街から町への街道。

 森の真ん中に作られた、馬車も通れる道。


 しばらく歩いて、地図上の示した場所に着いた。

 「占いでは、……この辺のようです。心当たりは、あり、ますか?」


 クラウン様は顎を手で触って考え出した。

 「あっ!? 見回りで珍しい花があったから、馬から降りて森の中に入った!」

 

 「あれです、か……?」

 雑草が伸びていて、ガサガサと草を踏みしめて進む。

 その見覚えのある花へ近寄っていった。


 「クラウン様。こちら、へ」

 振り返って、クラウン様に来てくれるように呼び掛けた。

 「わかった」

 ガサガサと雑草を踏んで、クラウン様は私の隣に並んだ。


 「あっ!」

 クラウン様が急に声を出して、屈んだ。

 手を伸ばして雑草の間から何かを拾った。


 「指輪だ……」

 親指と人差し指で拾い、手のひらへ転がした。

 少し瞳が潤んでいるようだった。

 

 「間違い、ないでしょうか……?」

 手のひらで指輪を転がして確かめていた。

 「ああ! これは俺の指輪だ」

 クラウン様は、やっと見つかった……! というような嬉しそうな顔をして笑った。


 ふと、クラウン様の手を見た。

 「クラウン様……。もしかして、この花……に、触れました、か?」

 嫌な予感がした。


 「あ、ああ。取ってはいないが、花に触れた」

 「何て、こと!」

 クラウン様の手首辺りを見て、嫌な予感は当たってしまった。


 「い、今すぐ! 【占いの館 ネムノキ】へ! も、戻りましょう!」

 私は強引にクラウン様の腕を掴んで、その場から離れた。


 「ど、どうした!? 何を焦っている?」

 私はクラウン様の問いに返事もせず、腕を引っ張って早歩きで【占いの館 ネムノキ】へ戻っている。

 「は、早く……。手当……を」



  【占いの館 ネムノキ】へ戻ってから、屋敷の一室へ連れてきた。

 ここは薬草を作ったりする部屋だ。


 「一体どうした?」

 部屋に入って腕を離した。扉の近くの手洗い場。真っ先に手洗いをする。

 石鹸で洗って清潔にする。

 「クラウン様も、手洗い……してください」


 「何だかわからないが……」

 戸惑っていたが言うことを聞いてくれた。ちゃんと手洗いをしてくれた。

 「これ、で……手を。拭いて下さい」

 清潔な布を渡して、手を拭くように言った。


 道具は揃っているので、すぐに薬を作り始めた。

 「一体なんだというのだ?」

 立ったままクラウン様は、何が起こったのかわからないという感じでいた。


 「椅子に……座っていて、ください。薬を、作って……います」

 

 机の上には乾燥した草、花や球根。

 ビーカー、フラスコや試験管。熱湯が、コポコポと沸騰している。

 壁には吊るされた薬草。これは乾燥させている。


 「その手首……。毒に……侵されて、います」

 「ええっ!? 毒!?」


 私は作業の手を止めずに説明をした。

 「その手首の……、少し(ただ)れているのは……」

 クラウン様が、驚いて手首を見た。

 「朝見た時より、広がっている」


「触らない……で、ください。その爛れは、珍しいと言った……花の毒に、よるものです」

 


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