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忌み嫌われ諦めていた【占いの館 ネムノキ】の魔女の扉を開いたのは、強面の騎士でした。  作者:


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2 強面騎士様との出会い


 

  人里離れた森の奥。

 小さな洋館で一人。いつものように、昼食中だった。

 ふと……。

 いつも向かい側に座って、一緒に食事をしていた祖母を思い出して視界が滲んできた。

 祖母が亡くなって数年経つというのに、寂しさは無くならない。

 食べ終わり、後片付けをしていた。


 チリリリンッ!

 来客がきたことを知らせる魔法のチャイムが鳴った。

 占いの予約は、今日入ってないはずだ。

 外の様子を見ることが出来る連絡用の水晶をのぞいてみると、騎士服を着た若い男性が立っていた。

 

 「……はい。どなた、でしょうか?」

 連絡用の水晶は、双方の会話が届く機能もある。やってきた騎士へ話しかけた。

『急で申し訳ないが、失くし物をして困っている。失くし物のある場所を占ってもらえないだろうか?』

 どうやら失くし物を探す依頼らしい。――どうしよう?


 「少々……、お待ちください」

 食堂からエントランスへ向かった。

 とりあえず、話だけでも聞こうかと思った。

 

 扉を開けてすぐ、訪ねてきた騎士が立っていた。

 目の前に壁があった。

 「え?」

 どうやら男性の胸の辺りらしい。

 顔を上げると強面の(目つきの鋭い)男性の顔が見えた。

 

 「……」

 高い身長に強面の顔。騎士服を着ていなかったら、ドアを開けなかっただろう。

 このローゼリア王国の騎士団は入隊条件が厳しく、品行方正ではないと続けられない。

 そのことを知っていたので、私はドアを開けた。


 しばらく二人で無言のまま、視線を交わしたままだった。

 「あ……、すまない! 占っていただけるだろうか?」

 騎士さんは私から視線を離さずに、話しかけてきた。

 視線を離さないどころか、ジッ……と見られていた。


 「は、はい」

 しまった。()()()のローブのフードが、顔を上へ向けた途端にずれて顔が露出していた。

 ささっと、フードを深く被りなおして騎士さんへ答えた。

 

 「私について来て……、ください。……魔女のライザ様の占いのお部屋へ、ご案内いたします」


 きっと私の顔は、真っ赤だろう。

 フードで顔を隠して、下を向いているから見えてないと……思う。

 赤面症と、うまく話せない私。


 騎士さんを、占いをする二階の一室へ案内をした。

 階段を登っている時、騎士さんの方からギシ……、ギシ……と階段の軋んだ音がした。

 

 「しばらく……、お待ちください。【占いの館 ネムノキ】の魔女、ライザ様を……お呼びいたします」

 「わかった」

 キョロキョロと部屋を物珍しそうに、強面の騎士さんは見ていた。

 警戒しているのだろうか。

 

 カーテンで窓を覆っていて、わずかな明かりだけの部屋。

 部屋を何重もの布で区切って占いする魔女の場所と、占いをしてもらう者と隔てている。

 占いをしてもらう者は、魔女と対面の椅子に座ってもらうことになっている。


 忌み嫌われている魔女に、占いをお願いする者が後を絶たない。

 なぜならば、よく当たるからだ。

 

 

 リサが部屋から出て行って、しばらくしてから――。

 何重にも重ねた薄い質の良い布のベールを被った魔女、ライザは騎士の前へ姿を現した。

 

『いらっしゃいませ。今日は、いかがなさいました?』

 

 妖艶な声。相手から顔が見えないように、ベールで覆っている。

 ジャラジャラ……と、アクセサリーが動くたびに音を鳴らしている。

 これは身を護る、魔法のかかった魔道具(アクセサリー)だ。

 優雅に騎士の対面の椅子へ腰を下ろした。

 騎士は怪訝そうに(魔女)を見ていた。

 

 少し間をおいて騎士は口を開いた。

 「……失くしたものを探して欲しい。報酬は弾む」

 指を組んで、眉間にしわを寄せて説明を始めた。


 失くしたものを探して欲しい?

 『それはどんなものでしょうか?』

 いくら何でも、どんなものか話してくれないとみつけようがない。

 騎士は、ソワソワと落ち着きのなく座っていた。


 「他言無用でお願いする」

 騎士は私の方へ顔を向けて言った。

『……お客様の秘密は厳守いたしますので、ご安心なさって下さい』

 よほど大事なものなのか。

 

 それにしても、私が秘密を漏らすとでも思っているのだろうか?

 お客様商売は、秘密厳守でないとやっていけない。


 「そうか。……これを見てくれ」

 騎士様は私に一枚の紙を渡してきた。

 テーブルに置かれた紙には絵が描かれていた。


『これは……。指輪ですね』

 紙には、指輪の詳しく書かれた絵と説明が書かれていた。

 大きな宝石と繊細な細工が施された、指輪が描かれていた。

 さぞかし由緒ある指輪だと思った。


 「そうだ。探せそうか?」

 前乗りになって騎士様は私に聞いてきた。

 よほど大切な指輪なのだろうか?


『指輪を失くして見つかることは、ほぼ無いはずです。小さなものですし、難しいでしょう』

 指輪を占いで探したことはないが、見つけるのは難しいと昔から言われている。

 引き受けて見つけられるか考えて、やんわりと断った。


 「見つけられないのか?」

 騎士様はがっかりした様子で私に返事をしてきた。

 無茶な依頼は断っているが、こんなに大柄な男性が見て分かるくらい落ち込んでいるのを初めてみた。

 可哀そうになってくる……。


『では。指輪をみつけられたら報酬を受け取り、見つけられなかったら報酬の受け取りはなし……で、いかがでしょう?』

 よほど大事なものと思って騎士様へ提案してみた。

 「えっ!? 探してくれるのか!?」

 いまにも椅子から立ち上がりそうになって、こちらを凝視した。


『ただし! こういった難しい依頼は騎士様も他言無用です。もう二度と難しい依頼は受けませんので、ご了承ください』

 無理に難しい依頼を受けても失敗するし、信用にかかわる。

 今回限りだ。

 いつもはこういった依頼を受けないはずなのに……。

 なぜか受けてしまった。

 


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