表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/35

×月8日【ベルル】

今まで言っていませんでしたが、一応この世界は普通に魔法があって使用されている世界です。

【メイド】 


「それじゃあ、行ってくるわね。」

 ベルルはバッグの一つも持たずにそう言って、玄関から出ていってしまった。

 ()()()()を残して……


【ベルル】


 私の判断は間違っていないはず……自分に言い聞かせながら何も持たずに歩いていった。街中を王女が歩いているとなると、流石に問題になるので、ボロい布のようなパーカーを羽織って姿を隠して歩いた。

 行き先は歩いて行けるような距離では無い。少し歩いて、馬車のある場所まで行った。


「ならいくらでも渡すわ。今日中にアサルク山にたどり着いて。」


 そう言って机に乗り切らないほどの袋に詰まった(きん)を置いた。すると運転手はそれを見て二つの意味で驚愕した。


「なんて量の金……!?……いやいや、でも今日中にアサルク山なんて……まぁいい!行くだけ行くから乗って!」


 そう言って運転手は盗まれないように金を馬車に乗せてから、私も乗ったのを確認して馬に走らせた。なんとしてでも到着しなければ……いや、到着させる。絶対に。



【運転手】


 アサルク山……通称『地獄山(ヘル・マウンテン)』。俺からすれば大金を払ってくれなきゃ行くのだけでも嫌なくらいだ。


 そう、アサルク山と言えば十数人いる運転手の中でも有名な、最悪のスポットなのだ。普通に行けば二、三日は当たり前にかかる。


 まず、アサルク山は、まるで人為的に作られたかのように、山を一周囲んで巨大な川があるのだ。一応橋はかかっているのだが、川の中には超凶悪な怪物が何匹か住んでいる。静かに行けばバレることは大抵ないが、バレてしまったら人生の終わりだ。

 その後山を登る道中にも、ゴブリンやオーク等、完全にこの山は怪物のたまり場になっている。それに加え、道と言えるような道はほとんどない。進もうとしても木や草が大量に生えており、馬が止まってしまう。


 一応魔法の薬(変な意味はないよ)を持ってきてはいるが、果たして行けるのか……?



【ベルル】


 深夜二十三時頃、ようやく頂上にまで馬車はたどり着いた。頂上はまるで断崖絶壁のようになっていて、近くにある小屋のような小さな家の近くの崖は、落ちると川がある。あの川に落ちれば、生きてはいられても、とてつもなく深い。溺れてしまうのが関の山だろう。山だけに。


「着きましたよ……」


 さすがの疲労にゼェゼェ言っている運転手を置いておいて、馬車から降りた。


「あとは大丈夫です。私はここに残るので帰ってください。ありがとうございました。」

「えぇ!?……まぁ分かりました。どうなっても知らないよ!!」


 そう言って馬車は私を置いてゆっくりと降りていった。あとは明日まで待つだけ。魔法道具(魔法こもった道具。この魔法道具はバリアを張るもの)でここに怪物が襲ってくることは無い。


「じゃあ向かいましょうか……」


 そう呟きつつ、私は小さい家で就寝することにした。


第八話【ベルル】 終

この作品が面白いと思ったら是非★やブックマーク、コメントなどお願いします。

また、他の連載作品などもお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ