×月6日
サム・クローディアは外国人っていうより、転生系によくいる冷静な王子みたいな感じを思い浮かべて読んでください
【ベルル】
【サム・クローディア】。私が「誘惑の悪魔」と呼ばれているのに対し、サムは「冷酷の堕天」と呼ばれ、市民から恐れられている。夜道に出会って気絶してしまったという事例があるほどの覇気で、実際に戦地に出向いた時には、敵国に『堕天』、『恐怖の象徴』、『悪夢』と様々な呼び名をつけられたという。
だが、実際に見てみると、そこまで威圧感はなかった。冷酷で怖い、というのは感じるが、気絶するほどではなかった。今まで様々な修羅場をくぐり抜けてきた経験のおかげかもしれない。
そんなことを考えていると、サムは片膝を地面につき、手を取り話し始めた。
「アレクには渡しません。」
どういう事なのか、わざわざ考えるまでもないだろう。するとサムはもう一言だけ話した。
「9日までに。」
するとサムは入ってきた窓からヒョイッと飛び降りて出ていってしまった。丁寧に、というか何故か窓は閉められていた。いや手品か。
朝、起きて広間に降りると、玄関のドアが「バンバンッ」と叩かれた。誰が来たのか、それにしても扉を叩くなんて失礼なやつだ。半ば乱暴に扉を開けると、そこには倒れるようにして座り込んでいるライタがいた。全身傷だらけで、戦地に出向いた後かのような姿だった。急いで「どうしたの!?」と聞きつつ家に入れようとしたが、ライタはそれを拒否して話し始めた。
「ガレクのやつが手下を送って遮ろうとしてる……あいつ戦争でも起こすつもりだ……!!」
そんなことを言っている間に遠方から三人ほどの兵士が武器を持って走ってきた。だがライタは軽く魔法を放ち、三人をまとめて吹き飛ばした。
「メイシー家と張り合うのはダメだ……あっちからの提案で明日にメイシー家の豪邸に招待されてる。」
招待、つまり戦争をするか否かという交渉だ。基本、そういった招待された側の者は、本人が行くことは無いので、信頼のあるものが交渉に応じる。ベルルにとって信頼のあるもの……
ライタはベルルの方を見て頷いた。「招待には俺が応じる。」、言わなくても分かっていた。
「大丈夫、ベルルは安心してアレクと恋愛しときな!」
「あの……言いにくいんだけど……クローディア家の【サム】にも告白されてるんだよね……」
そう言うと、ライタはこの巨大な豪邸全体に広がるような大声で、「は!?」と驚いていた。深呼吸して落ち着いてから、ライタは口を開いた。
「まぁ……好きなようにしな!」
ニカッと笑ってライタはそう言った。運命の日まであと3日。
第六話 終
ややこしくなりそうなので一応言っておきますが、ライタが恋愛に関わってくることはほとんどありません。僕の戦闘シーンが書きたいっていう禁断症状を抑えるためのキャラですw




