×月×日
前話で話していた、例の後日談です。もうこの話でこの作品は最後になります。多分!!!今までありがとうございました!!
「囚人番号20251130番、面会だ。」
ダルそうに檻の中から出てきた男、「バラ・アリア」は、不当暴行罪、殺人未遂罪などの罪で起訴され、有罪判決で懲役30年となった。
「ほら、入れ。」
「……!」
看守に面会室の椅子に座らされ、前を向くと、そこにはバラの妹の娘である、「エイカ・アリア」がいた。
アクリル板越しにエイカの事を睨みつけていたが、いつまでも黙っているエイカに嫌気がさしたバラは立ち上がって、アクリル板を突き破る勢いでエイカに迫った。
「おちょくりに来たなら帰れ。ベルルの件はお前が入ってくる事じゃねぇ。」
バラ自身、ベルルに対して反省の念が全くなかった訳ではない。
警察に尋問をされた際に語った動機は、「ベラに認めて貰いたかった」そうだ。父親を殺してでも、ベルルを殺そうとしてでも、ベラに振り向いて欲しかったのだ。
ベラが、母親が可愛がるのはいつもベルルの事ばかりだった。その娘が来た所で何にもならない。
「お母さんは……ベルル・アリアは亡くなりました。」
バラは目を見開いてその場で停止していた。ベルルが死んだ?そんなはずない。俺は殺さないようにしたはずだ。ベルルを殺すつもりなんて……
「お母さんは元々病気『ピルクレア』を患っていました。それも重度の。入院していたお母さんの容態は突然急変して……」
その後もエイカは話し続けたが、ほとんど耳に入ってこなかった。あのまま……あのまま居なくなるなんて思っていなかった。
そんな時、エイカはアクリル板の隙間から封筒を渡した。
「お母さんにお願いをされたんです。貴方にこの封筒を渡すよう。それでは、私はもうすることがないので。」
「待……待て!!」
エイカは不服そうな顔でこちらに振り返った。俺はこのまま終わりたくなかった。アリア家との関係を。必死に振り絞って出てきた言葉は、とても情けなく、薄っぺらいものだった。
「……頑張れよ。」
まるで哀れむかのような表情で、笑みを浮かべて、エイカはそのまま去っていった。これで……これでいいのだ。
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「バラへ。」
バラ。これは私の遺書として読んでいいです。貴方に最後伝えたいことがありました。
子供の時から、貴方が放火したであろうことは何となく分かっていました。あなたが嫉妬していた事も。
でも、忘れないで欲しいんです。お母さんに愛情を注がれなかった分、私と沢山の思い出があることを。これからその思い出が増えることはもうありません。だから、その思い出を記憶の中で温めて、取っておいて、改心した貴方と天国で語りましょう。
私は今も皆さんの心にいます。
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「ベルル……!!!」
涙を抑えて、手紙をくしゃっと握った。そして、色々な事を考えてから、深呼吸をして、前を向いた。
「刑務所を出たらまずは墓参りに行かねぇとだな。」
そして一度謝るのだ。墓の前で。
『悪役令嬢は不治の病に冒されました』 終
ありがとうございました!!
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