×月29日
え、どうやって締めんのこの作品?????
【ベルル】
ここがどこなのか。そんな事気にならないほどだった。
全身に何かが乗っているように微動だに出来ない。風邪の時の「身体が重い」というのが酷いような状況だった。ほとんど思考が動かない。今起こっている状況を飲み込むので必死だった。
「ベルル様……冷静に聞いてください……あなたの命は非常に危険な状況です……ハッキリ言います。あなたは今日亡くなります。」
あぁ……なんだ……
【サム】
皆が生きた心地がしないまま、目が虚ろになって下を向いて座っていた。全てだ。全てが計画通りにいかなかった。
ベルル様との日々も、結婚式も、パーティも。
そんな時、医師が急ぎ足で走ってきた。そして、バトンタッチするように、中にいる医師と入れ替わった。
そして数分すると、中にいた医師も暗い顔で出てきて話し始めた。
「……ベルル様の意識は一応取り戻しました……ですが、ほとんど意識はないようなものです。このまま亡くなってもおかしくない状態です……正直期待はしない方が良いです。」
それでも……その先を考えるよりも先に扉を突き破るように部屋の中に入った。
「ベルル様!!!」
「…みんな……?」
ベルル様はほとんど開いていないような目でこちらを見てそう言っていた。入院状態で、心拍などが乗った機械が「ピ……ピ……」という音を立てている。
「エイカ……最後のお願いよ……」
「……?」
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「分かったわ、お母さん。」
「頼んだわよ……」
そしてベルル様はため息のような深呼吸をして上を向いた。そして笑みを浮かべながら涙を流すと、一言だけ言った。
「都合が……良すぎるわよね……」
瞬間、耳を劈くような『ピーッ』という音が部屋に響いた。ベルル様の表情が解け、布団にベルル様の涙が染み込んだ。
「ベルル様……ベルル様……!!」
膝からその場に崩れ落ちた。瞬間、廊下を誰かが走ってくる音がしてきた。
「ベルル!!!」
入ってきたのはお義母様だった。ベルル様の姿を見ると、亡くなっているのに気がついたのにも関わらず、ベルル様の肩を掴んで揺らし始めた。
「ベルル!!!ベルル!!!」
「おばあちゃん!!やめて……!!!」
「ベラ様……!!!」
全員が涙を流しながら誰かを押さえつけるという部屋の中はカオスになっていた。
数時間後、夜になり、暗くなった院内でただ一人、俺は座って天井の一点を見続けていた。
「俺は……ベルル様は……」
そんな事を呟きながら出てくる涙を流さないように上を向いていた。すると、背後から誰かが肩を叩いてきた。もはや何でもいい。天井を見上げたまま、「なんですか?」と聞いた。すると、その人物はこの病院の受付だったようで、「これを渡してくれとの事でしたので。」と言って、座っている俺の隣に手紙らしき物を置いた。
開いて中を見ると、中には丁寧な字で「サム・クローディア様へ」と書かれていた。まさか……そんな期待を抱いて手紙を見た。
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この手紙を読んでいる時には私はきっとこの世にいないでしょう。
サムさんと過ごした日々は、時間にすれば数日。今まで私が生きてきた時間とは比べ物になりません。
それでも、私は短いそんな日々に、どんな長い時間よりも幸せを感じていました。サムさんがいて、エイカがいて、ライタがいて、お母さんがいて…色々な人の支えがあって私は成長できました。
今まで最低な人間だった私が、病気になったからと言って改心するなんて、都合のいい話です。だからこそ最後に一言だけ言わせて欲しいんです。
ありがとう。
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『悪役令嬢は不治の病に冒されました』 終
一応、明日に後日談的な話も投稿するので、そこまで読んでいただけるとスッキリするかな、と思います。とりあえずここまで読んでくれた方がいたらありがとうございました!!
どうでもいいですけど、この話書いてる時はまだ1話の投稿すらしてないので、投稿する前に、僕の中では完結してるんですよね笑




