×月26日
遂に今日は結婚式です!多分サム達より僕の方が盛り上がってます。なんで?
【???】
「カーン……カーン……」という音が頭の中で鳴り響く。どうしてこんなことに……そう頭の中で言いながら意識が遠のいていった。
【ライタ】
数時間前……
結婚式だというのに、寝坊してしまった。本来家を出なければいけない時間に起きてしまったので、急いで支度をして、スーツがヨレヨレのまま結婚式に向かったところ、会場にいたベラ様に直させてしまった。恥ずかしい。
結婚式場『ル・グール』はいわゆる教会のような場所なので、広間に設置されている扉を潜れば直ぐに結婚式場が広がっている。
自分が結婚する訳でもないのになぜか緊張して、一度深呼吸してから扉を開いた。
すると、中は今まで見た事が無いほどの高級さだった。シャンデリアは豪華に宝石が散りばめられ、柱には金がコーティングされている。どこを見ても高級な要素しかない結婚式場は、やはり世界一規模なだけあると納得させられる見た目だった。
「ライタさん、こっちです。」
式に参加していたエイカに、席を手招きで案内された。席は最前列で、ベラ様の隣だった。式場にはおよそ数十人の人が集まっていた。会場に入れる最大の人数を集めた、という感じだ。
ベルルの友人や遠い親族、昔慕っていた人物など、一人一人に挨拶をしてから座った。
少しすると全員が座り、電気が少し暗くなった。すると、「ギィーッ」と音を立てて後ろのドアが開いた。差し込まれる光が逆光となっていたのにも関わらず、入ってきた二人の姿から目が離せなかった。
スーツに包まれたサムさんの姿はまるで王子のような風格があった。
そして、ドレスで身をまとったベルルはもはや女神のような美しさだった。何年間もベルルと一緒に居たが、ここまで美しいと思ったのは初めてだった。
二人が舞台に上がると、会場は拍手する手を止め、静まり返った。
……あれ、冷静になって考えると、神父はどこへ行ったんだ?神父の姿が見つからない。
【ベルル】
結婚式場へサムさんと入場し終わり、心臓が潰れそうなほどだったが、あることに気がついてしまった。
神父の準備を完全に忘れていた。サムさんも忘れていたようで、「どうしよう……」と言いたげな表情を浮かべていた。
私がどうにかするしかない。そう思い、急いでライタの方を向いて小声で言った。
(神父やって!!!)
「はぁ!?」
思わずライタは大口を開けてそう叫んでいた。だが、状況を何となく理解してくれたようで、快くステージに上がってきてくれた。
「えぇー……オホンッ、サム様、ベルル様あなた達は永遠の愛をここに誓いますか?」
恐らくめちゃくちゃカットされて、台本とは完全に違うだろうが、台本は知らされていないから仕方がない。そんな時、サムさんが笑顔で口を開いた。
「例え居なくなっても愛し続けます。」
「キャーッ」と叫びたい気持ちを抑えて、私も「誓います」とほとんど泣きながら言った。
初めは誰も寄り付かなかった私の結婚式に何十人も来てくれた。遂にここまで来たのだ。
そして、遂にその時が来た。サムさんはベールを上げ……
突然の出来事だった。視界が揺れた。地震ではない。視界がぐにゃぐにゃと揺れ出して、脳がゆらされている感覚だ。気がついた時にはその場で倒れ込んでいた。
「カーン……カーン……」という音が頭の中で鳴り響く。どうしてこんなことに……そう頭の中で言いながら意識が遠のいていった。
第二十六話 終
結婚式、参加したことないので一ミリも分からないんですがこんな感じなのかな……




