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×月14日

【登場人物】

 『ベルル・アリア』

 権力を持った貴族の一家の悪女。悪役令嬢。この物語の主人公。

 『エイカ・アリア』

 ベルルが夜遊びを繰り返した結果、生まれてしまった子供。愛情を受けず、奴隷のような生活をしている。

 『ライタ』

 ベルルの数少ない友人。アリア家の兵士として働いている。

 『アレク・メイシー』

 メイシー家の息子。心優しい性格の裏は、最悪の性格をしている。死亡。

 『ガレク・メイシー』

 アレクの父親。厳格かつ、傲慢な性格をしている。

 『サム・クローディア』

 クローディア家の長男。『冷酷な堕天』と呼ばれる性格とは裏腹に、ベルルへの愛情は人一倍もっている。現在ではベルルの婚約者。


【あらすじ】

 余命30日を言い渡された悪役令嬢、ベルルは、30日の間に真の愛を探す。

【ベルル】


 突然、家の中にインターフォンの音が鳴り響いた。こんな深夜に来るなんて何事だ?そう思いつつも、ベッドから出て行こうとすると、サムさんが「ついて行きますか?」と聞いてきたので、「大丈夫です。」と軽く返してさっさと玄関に向かった。玄関の扉を開くと、そこにはなんと()()()が居た。


「エイカ……なんで戻ってきたの……!?」

「……」


 エイカは下を向いて何も言わない。このまま放置しておく訳にもいかない。サムさんは、というかほとんどの人はエイカの存在を知っている。なので問題はない。


「とりあえず自分の部屋に入りなさい。そこで朝まで寝ときなさい。朝話すわよ。」

「はい……」


 そう言って、エイカを自身の部屋に向かわせた。何故だ……何故このタイミングに?


 そう思いつつ、部屋に入るとサムさんは眠っていたので、私も眠ることにした。



【サム】


 朝まで眠ってしまっていた。そういえば夜、ベルル様は誰かと外で話していたが……

 そう思い、あまりプライベートな場所は覗かないようにして、外に出ようとした。そして広間に出ると、そこにはなんとエイカ・アリアがいた。


「なっ……なんでいるんだ……?追い出されたと聞いていたが……」

「そちらこそ何故この家に……?」


 二人の間で微妙な空気が流れ出したので、こちらの事情を話すと、あちらも事情を話してくれた。


「そんなことがあったのか……俺は何とも言えないな。まぁ、ベルル様も成長したようだ。昔のように接せず、一娘として接するのがいいんじゃないか。」


 そう言うと、何故かエイカは納得したように「ありがとうございます。」と感謝の言葉を言ってきた。そんな感謝されるような事はしていないが。そう思いながらも、気まずいので気晴らしという意味もあって、外に出ることにした。



【ベルル】


 サムさんは起きて先に外へ出たのだろう。起きて一番初めにそう思い、その後にエイカのことを思い出した。

 覚悟を決めろ、ベルル・アリア。きちんとエイカに謝罪をして復縁するんだ。そう思って広間に降りると、エイカはでかい鞄を持って外に出ようとしていた。


「……!ベルル様。一晩も止めていただきありがとうございました。このままでは迷惑になってしまいます。帰って金輪際ベルル様の目の前には現れません。」


 突然の事だった。いや、考えれば当然のことかもしれない。恐らくエイカは一瞬の気の迷いでここに来ただけだ。直ぐに帰るのは当然と言えば当然だろう。


「待ちなさい……」


 エイカは聞こえていないフリをしてそのまま歩いていってしまった。


「待って……!待って!!」


 そう言って、縋るようにエイカの腕を掴んだ。自然と目からは涙が零れてきていた。


「ごめんなさい……ずっと……私はあなたの事を粗末に扱って……謝って許されることじゃない……けど!どうかこんな馬鹿な私と一緒にいて!!」


 半ば強引にそう叫んだ。するとエイカも涙を流しながら抱きついてきた。


「お母さん……お母さん!!」


 周りのメイドは呆れるようにため息を吐いた。本心はとても嬉しいのだ。ようやく……「親子」が「家族」になったのだから。


第十四話 終

こういう謝罪シーンとかって意外と王道じゃないものにするの難しいですね。

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