×月11日【後編】
文明が変なのは異世界なので許してください
【ベルル】
「着きました、『××病院』です。」
運転手がそう言って馬車を停止させた瞬間に、文字通り飛び出すようにして車を出た。ライタ……どうにか無事でいて……!そんな思いを抱いて、病院内を走って聞いていた入院している部屋に入った。
「ライタ!」
ライタは部屋の片隅、窓際のベッドで寝ていた。包帯がぐるぐるに巻かれて身体中傷だらけだが、外傷は時間があれば魔法で直せる。
だが問題は有害物質……そんな時、追いついた専属医師が話し始めた。
「有害物質も抜けてきています。第三者目線で言えば、助かる可能性は高いですが、医師としてはどうとも……」
安堵する気持ちと、未だ残る不安で複雑な気持ちだった。まるで寝ているようで、「ライタ」と呼びかければ起きてきそうだ。
「ライタ……」
「ハイッ!」
……え?そう言ってライタはベッドから起き上がった。なんでいきなりギャグ展開になったの?そんなことを考えつつも、ライタに抱きついた。
「良かった……!!」
「いや、ベルル。まだ終わりじゃない……メイシー家は全員撤退して、まだ戦意を失ってない!ほとんどは倒せたけどまだまだ援軍が……」
「ライタ……と言ったか。」
ライタの言葉を遮ってサムさんが背後で話し始めた。
「メイシー家は俺がベルル様の味方になったとしても戦うと思うか?」
ライタは緊張した面持ちでコクリと頷いた。メイシー家はもはや暴走状態で、戦争することしか頭にない。サムさんは何をするつもりなのか。
「ベルル様、私が明日、メイシー家に乗り込みます。今日は私が護衛するので、安心してください。」
頼りになる、それにサムさんの一家、クローディア家は三家の貴族の中では一番兵力がある。とは言え……
「そんな、メイシー家に乗り込むなんて……!クローディア家まで戦争に巻き込まれてしまったら……」
「それを終わらせる為にですよ。」
そう言ってサムさんはにこりと笑った。信頼はあるがいくらなんでも……ライタもそう思っているらしい。何となく表情で分かった。
「ライタは一度寝ておけ。まだ身体も万全ではないだろう。ベルル様もお休み下さい。私は少し着替えと食事に行ってまいります。」
そういえばサムさんは昨日の夜から着替えても居なければ、数日前から食事もしていない。申し訳ない気持ちで「ごめんなさい」と頭の中で謝りつつ、ライタの横で休むことにした。
第十一話【後編】 終
ライタの入院、着地点を見失ったのでギャグで終わらせてしまいました。本当にすいません。完全にミスりました




