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×月11日【前編】

少し長くなりそうなので前編後編に分けさせてもらいます。

【ベルル】


 相当体力を消耗して、もう動けなかったので、サムさんは私の事を背負って先程の頂上の小屋まで登ってくれた。

 小屋にいる馬車の運転手は相当慌てていたが、事情を説明すると、とりあえず馬車に乗せて下山してくれた。


「なるべく急ぐけど、着くのは昼ぐらいになるかも。傷とかはこれで治しといて!」


 そう言って運転手は傷を治癒する用の魔法道具を渡してくれた。



「はっ……!」

「起きましたか。」


 起きた時、目の前にいたのはサムさん……ではなく、メイドだった。見慣れた部屋、ここは私の家だ。到着したのか。


「サム様と結婚が決定したそうで。」

「えぇ……で、そのサムさんはどこへ?」


 話を聞くと、サムさんは馬車から私を下ろした後、事情をメイドに説明して、家の前で門番のようにずっと立っているらしい。理由は、私の許可がないといけないからだそうだ。いや、犬か。


「分かったわ。あなたもありがと。」


 そう言ってサムさんの元へ向かった。部屋を出る時にメイドが「え?ありがとうって言われた」と呟いているのが聞こえた。

 確かに、今まで他人に感謝なんてしたことが無かったかもしれない。自分も成長したと考えると、何となく気分が良かった。


 家から出ると、サムさんは何やら誰かと話していた。あれは……私の専属医師ではないか。なんの話をしているんだ、と思って見ていると、医師は私に気がついたようで、慌ててこちらに走ってきた。


「ベルル様……落ち着いて聞いてください……!」

「な……何があったの?」


 ピルクレアが判明した時と同じなくらい真っ青な顔をして慌てていた。何があったんだ?


「ライタ様が……意識不明の重体にあられます……!!」

「ライタが……!?」


 専属医師は「とにかく」と慌てて言って、私とサムさんを高級馬車に乗せて急いで病院に向かった。運転手に行き先を伝えると、専属医師は話し始めた。


「サム様の話は私も聞いております。そして、アサルク山での事も。その最中、戦場ではメイシー家によって新たな兵器を使用されていたんです。」

「兵器……!?」

「そう、簡単に言えば『爆弾』です。それも、有害物質がてんこ盛りの最悪の爆弾です。その爆発音は街中に響いていて、なんとライタ様はその()()()()()()におられたのです……!!」


 思わず息を飲んだ。じゃあライタが意識を取り戻す可能性は……


「不幸中の幸いと言うべきか、ライタ様は直前で魔法を発動したことによって即死は逃れられました。ですが……一日経った今でも意識を取り戻す様子は一切ありません……!」


 自分の呼吸が荒くなっていることに気がついた。そんな時、サムさんが、手を握ってくれた。


「ありがとうございます……」

「落ち着いてください。まだ、希望はある。」

「病院が見えてきましたよ……!」


 その病院はまるで、敵地のような圧があった。私が慌てている場合ではない。ライタの無事を願っているばかりであった……


第十一話【前編】 終

ここに来て言うのもなんですけど、僕って根っから恋愛系向いてないですねw

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