×月8日【ライタ】
先に×月8日【ベルル】の方を読んでいただいた方が良いと思います。まぁ大して変わりません。
こちらはライタ視点での×月8日の様子です。
【ライタ】
朝起きていち早く……いや、今日の俺はそんな甘い生活はできなかった。ベルルの住む城というか、この豪邸の近くの荒野からガレクの兵は攻めてくる。
されると分かっている奇襲を阻止しないわけが無い。昨日から徹夜で兵を至る所に潜ませ、自分も隠れていた。
日が照る朝。大量のガレクの軍はリーダーを中心に荒野を走ってきた。戦いには当然と言うべきか、ガレク本人が来ることは無い。率いるリーダーは……
「『ソーク』か……!」
『メイシー家』屈指の兵士、『ソーク』。この世界では珍しい、人の身長よりも巨大な槍を操って戦う兵士だ。恐らくメイシー家の兵士の中なら五本指には入るだろう。
遠くからでも一目見れば分かる。何故なら、家の中に入る時以外の外にいる際は、ほとんど漆黒のような真っ黒な馬に乗っているからだ。
「兵士の数はざっと三千ってとこか……」
こちらの兵力はおよそ千。あちらは流石に兵士全員はこちらに寄越していない。ベルルも、全員を出兵はさせず、打倒な人数を出兵したのだろう。
「隠れているのは分かっている!!ライタ!!私が来たのだ!!姿を現せ!!」
「俺だけが出る。まだお前たちは出るな。」
近くの仲間にそういい、ジェスチャーでそう合図させた。
「俺はここだ!!」
城の屋上にいたので、出なければ絶対にバレることはなかったが、飛び降りてソークに向かい合った。
「これが最後のチャンスだ、ライタ!本当に私たちと戦争する気なんだな!?」
「こっちのセリフだよ!!!」
そう叫ぶと、一秒ほどの静寂の後、二人の武器がぶつかりあった。
「アリア家を抹殺しろ!!!」
そう部下に叫んで、突撃させた。ハンドサインで半分だけ出てこいと合図して、半分の500の兵を出した。
「出したか……霧紫の剣……!」
ソークは俺の剣を見てそう呟いた。どことなく剣に紫の煙が纏われているような見た目に見えるので、そう呼ばれている。
「『紫煙』」
そう俺が言うと、剣は呼応するかのように紫色に輝き出した。そして、そのまま突撃し、ソークの肩に傷をつけた。
「っ……!」
「全員かかれ!!」
そう叫んで、隠れていた兵を含む全員が戦い始めた。士気を高めるように、全員が「ぅおおおおお!!!」と叫びながら戦う。
血しぶきがあたりに散りばって水溜まりのようになっていた。
「ベルルに……到達させはしない!!!」
この兵たちは俺たちを殺戮した後、おそらくアサルク山に向かうつもりだ。そうはさせない。なんとしてでも俺がここで食い止める……そう思って気が散っていたのかもしれない。
突然背中を激痛が襲った……いや、最早感覚は無くなっていた。
切りつけられた……そう思ってから反応するまで一秒もかからなかった。周りの三下全員をなぎ倒し、回復用の魔法道具を使用して背中を治癒した。
「ある程度の傷ならこれで治せる……」
そう呟いて、数秒で治癒は完了した。そしてもう一度前を向いて、霧紫の剣を握り直した。
こうして血も涙もない……いや、血が流れる戦が始まってしまったのだ。
第八話【ライタ】 終
ようやく戦闘描写を書けたぁぁぁぁ!!!




