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第1話:世界の真実を知った時あなたならどうしますか?


 結局あの後、僕たち4人家族は引っ越すことになった。

 僕の魔法によって二階が吹き飛んでしまって建て直すくらいなら引っ越そうとなったのだ。

 それに丁度、役人の父親が昇進しアナスタシア王国の王都に移動することになったようなのでどっちにしろ引っ越さなくてはいけなかったらしい。

 

 ちなみに、僕が使った魔法は台風ということで片付けられたという。

 魔法や魔力なんてものがこの世に存在しないと人々が認識している以上はバレることはないだろう。

 そんな僕もあれから5年が経過して魔法の腕は飛躍的に上がった。

 しかし、それ以外のことに関してはまったく成長していない。

 それは呪いとでもいうのだろうか? 

 僕は魔法以外では全てが人並みの平均、もしくはそれよりも下だ。

 おまけにパッとしない見た目でこれといった取り柄もないので完全にこの世界のモブとなってしまった。


 魔力もあるし魔法も使えるからモブではないのでは?

 そう思った方もいるかもしれないが魔力や魔法というのはこの世界から失われた力で評価されることはない。

 おまけに僕がモブなのはスキル至上主義のこの世界の制度が決めたことだ。

 皆んなも一度くらいなら聞いたことがあるかもしれないが、この世界には身分がある。

 その身分は3つに分けられ第一身分が王族や貴族、第二身分がスキルを持つ者、第三身分が僕のような無スキルだ。


 無スキルの割合は全体の3割ほどと結構いるが圧倒的にスキル持ちが多いのが現状だ。

 だから、無スキルは才能に恵まれない平凡としてスキル持ちからバカにされたり差別されたりする。

 実際、無スキルは仕事につくのが難しいので貧しい者がほとんどで、奴隷になって地下労働とかマグロ漁船に乗ったりすることも珍しくないらしい。

 恐らく母親は僕がそんな風にならないように医者を探したりしていたのだろう。



 しかし、僕は魔法を手に入れた。

 この力があれば僕は魔物の脅威に怯えずにこの世界を余裕で生きられるだろう。

 僕の理想とするスローライフも送れないことはないのだ。

 だが、そんなに世界はモブに優しくない。

 僕は魔法が使えることである問題に直面し、挙げ句の果てには命まで狙われてしまっているのだ。

 この世界の秘密を知ってしまったから。

 

 僕は魔力に目覚めて魔法を使えるようになって世界の秘密を知ってしまった。

 それは僕が父の書斎で見つけた『国家機密』の本の最後のページ。

 魔法を使える者にしか見ることのできない著者からのメッセージによって。

 そこには魔法や魔力がなぜこの世界から失われてしまったのか、また僕がなぜ無スキルなのかの原因までしるされていた。

 要約すれば以下の通りだ。



――――――――――


【 魔法書 】


 1. この世界に暮らす人々は魔物の脅威に怯えていた。


 2. 神々は人々を助けるために魔力を作り出し魔法を教えた。


 3. その力を独占しようと考えた男、ゼロは無神教と呼ばれる組織を作り出し、神々を封印して魔力と魔法を世界から奪った。


 4. 神々は最後の力を振り絞り、人々に魔法や魔力に変わるスキルを与えた。


 5. ゼロはスキルを奪うために堕天使(幸福や能力を奪う怪物)を復活させようとする。


 6. 堕天使の復活が近づきスキルを持たない子供(無スキル)たちが生まれてしまう。


――――――――――



 つまり、僕が無スキルなのは僕が転生したこととはまったく関係がなかったのだ。

 しかし……『無神教』と呼ばれる『ゼロ』が作り出した組織……こいつらは一体何者なんだ?

 力の独占による世界の支配が目的と思われるが……

 分からん。


 だが、これだけははっきり言える。

 僕が魔法を使えることができるとゼロが知れば僕を確実に殺しに来ると……

 当たり前だ、せっかく世界から奪って独占した力をまだ持っている者がいるのだ。

 おまけに、その秘密を知ってしまった。

 ゼロからすれば口封じしないわけにはいかないだろう。

 とにかく、僕はこの最後のページを見てから魔法や魔力を人前では使わなくなり話さなくなった。

 それは実の家族にも。


 

「はぁ……」


 庭にあるベンチに座っていた僕は本を閉じると大きなため息をついた。

 せっかく魔法が使えるようになったのに命を狙われているのだ。

 これでは僕の理想とする穏やかで平和でのびのびとした異世界生活など絶対に送れない。

 それに……まもなくこの世界は滅んでしまうだろう。

 当たり前だ。

 堕天使とかいう怪物が復活すればスキルは消滅し力を持たない者は全員死んでしまう。

 魔法を使える僕一人だけポツンと生き残っているのもそれはそれで寂しいかもしれない。



「やはり、無神教を倒すしかないのか?」


 僕は透き通った青空を見上げるとそうつぶやいた。

 しかし、魔法以外は平凡な僕にそんな危険な教団に勝てる見込みはない。

 なにせ、相手は力だけでなく世界中に何百万という教徒を抱える組織だ。

 個の力では限界があるだろう。

 だからこそ、僕は僕以外の魔法使いを探そうと思う。

 僕と同じ魔法使いならば実力は確かなものがあるはずだし、無神教に関しての情報を集めている可能性が高く協力してくれる可能性は大いにあるだろう。


 もちろん、魔法使いがこの世界にいるということはすでに確認済みである。

 なにせ、この魔法書を書いたものが魔法使いでないはずがないからだ。

 それに、この世界には魔法を操る王、通称魔王と呼ばれる者たちがいるという。

 彼らは卓越した魔法の実力によって自分の国を作り無神教と戦っていると聞く。

 しかし、魔王の中には勇者と戦っているものたちもいるというから全員が全員良い魔王とは限らないのかもしれない。

 彼らへの接触も近い内に実行したいが……

 まずはこっちを片付けないとか、、、


 僕は僕の頭に小石を投げつけて来る三人組の少年たちを見るのだった。


――次回に続く。


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