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第6話 魔王のキト

 白いキトの姿になった魔王に、私はメロメロで、抱き上げて膝に乗せる。完全に地べたに座りこみ、キトの頭や体を撫で付ける。顔がニヤけるのが止まらない。

「ずっと私たちを見てたんだね、キトの姿で」

「そうだよ。ずっと見てた、君のことを。もう9年になるかな」

 声が幼い上にキトの姿をしている魔王は可愛らしさの化身だ。威厳や圧倒される雰囲気はまるでない。いや、キトという生物は気位が高く気品もあり、可愛いだけじゃないのだけど、人間の姿の魔王は綺麗すぎて怖いくらいの美しさだったから、今のキトの姿は可愛らしさしかないように思えてくる。しかも、何年も前から時々見かける白いキトなのだから、尚更だ。

(興奮してるなぁ)

 先ほどまで重大な真実を知り、ショックを受けていたというのに、魔王がキトの姿になったことで緊張感が霧散した。

 テオもリックも寄ってきて、魔王であるキトを撫でる。

「お前が魔王だったのか、王城で見かけるキトなんていないから、なんでだろうとは思ってたんだよ。そりゃ人間の張る結界なんて魔王にはカーテンみたいなもんだろうな」

 リックが先ほどまでの衝撃も忘れているようなのんびりした声で納得の声を出す。

「カーテンっていうわけではなかったよ。だけど、わたしにとってあの結界はないも同じだからね。ギプソフィラの保護者の騎士団長がいつも血眼になってわたしを探していたね」

 私はザックが必死な形相をしてキトを探しまわっている姿を思い浮かべ、思わず笑ってしまう。どうやっても捕まえることができないキトを探すのは大変だったろう。

「王城に入るのは辞めてあげてほしいかも。ザックの負担になってしまうわ」

 笑いながら思わず魔王にお願いしてしまう。

「ギプソフィラはあの騎士団長を大切に思っているね」

「そりゃあそうよ。だって両親が亡くなった後、私を引き取ってくれたもの」

「それだけかい?」

 私は首を傾げた?他に何があるというのか?

 リックが慌てた様子で間に入ってくる。

「魔王、先ほどのことは本当に本当のことなのか?魔物災害が王の仕業ということ。各国の王が意図して魔物災害を起こしているっていうこと。それは真実なのか?」

 リックはキトの魔王を私の膝から奪い、抱き上げ、目線を合わせた。「嘘だと言ってほしい」リックのそんな声が聞こえてきそうだ。

「本当なんだ。セドリック、君にとっては辛いことだね」

 洞窟の中は静寂に包まれる。魔王は王を責めたりしていない。事実として魔物災害の原因を伝えているだけだ。

「魔王、魔物災害を起こすには理由があるのではないですか?何か理由があるはずですよね?」

 テオが真剣な面持ちで魔王を見る。キトの姿をした魔王にも敬語を崩さない。テオは魔王を神でないかと疑うほど魔王に神聖なものを感じたのだ。キトになってもそれは変わらず感じられているのかもしれない。

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