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第28話 テオの瞳

 ロビンが私たち五人を連れてきたのはキリキ山を少し登った場所だった。ロビンが守ってくれていたのか、魔物とは一度も遭遇しなかった。

 まずエリアス副団長がその異変に気づいていた。

「こんなキリキ山の中で魔物に出会わないなんておかしいだろ」

「そうだな。白いキトが何かしてるのか?」

 ザックはロビンの魔力が高いことを知っている。だからこその発言だった。

「おいおい、こんなキトに守られてるとか、勘弁してくれよ」

 エリアス副団長には、キトに守られるということが耐えられないのだろう。

「副団長、このキトは特別です」

 テオが硬い声で呟く。私は自分の耳を疑った。テオがキトを猫と呼ばず、キトと呼んだ。普通のことなのに、今まで頑なに、「猫」と言い張っていたテオの心境の変化に思いを馳せる。

 エリアス副団長はテオの顔を覗き込む。そして、そのままテオの後頭部を気持ちいい音を立てて叩いた。

「テオ、お前、おかしい目をしてるぞ。そのキトを信仰してる顔だ。お前の悪い癖が出てるんじゃないか」

 エリアス副団長とテオは実は仲がいい。テオの風魔法の師匠はエリアス副団長だ。テオは本当にすごい魔法使いでこの世界にある魔法、水・火・風・土・光・結界・治癒、それぞれの魔法のスペシャリストだ。前世の記憶も応用しながら新しい魔法も生み出している。風魔法のトップはまだエリアス副団長だけど、それはエリアス副団長が負けず嫌いでテオに風魔法のトップの座を奪われないように絶えず努力をしているからだ。団長は性に合わないからとザックに譲り、自分は自己研鑽を続けている。もちろん、副団長として騎士団にその力は還元されている。

 テオはエリアス副団長に頭を(はた)かれて、つんのめり、蹴躓く。もちろん、転けたりしないけれど、体勢を整え、足を止めた。ロビンもテオのペースに合わせ、歩を止める。

「すみません。でも、今回は違うんです」

 真摯な目をエリアス副団長に向ける。テオの若々しい空色の瞳が、エリアス副団長のたれた紺色の成熟した瞳を睨みつける。エリアス副団長も聡い人だ。白いキトに何かしら秘密があることを確信した様子だった。ザックもこの様子をジッと見ている。

(あぁ、リックから何かしらバレるかなって思ってたけど、テオからだったかぁ)

 私は小さくため息を()く。チラッとロビンを見ると思案顔だ。

 緊迫した空気の中、リックがのんびりとした声を出した。

「とりあえず、ロビンの後についていこう。何が待ってるか分からないんだし」

 のんびりとした空気の割りにしっかりとした内容だった。私はリックの援護射撃をする。

「そうだよ。テオの話はまた後で。今はロビンについていこう」

 あまり笑顔にならない私だったけど、とりあえずニコリと笑って見る。リックとザックが目を見開いた。テオは私を見もしない。その笑顔が胡散臭かったのか、エリアス副団長の眉間にうっすらと縦の皺が見えた。

 ザックがサッと私の後ろに移動して、背中を押す。

「そうだな。行こう」

 ザックはロビンに目を向けた。ロビンがニャーと鳴くとまた歩き始めた。私は、ロビンが本当は魔王っていうのは夢だったんじゃないかと思ってしまう。ニャーと鳴くロビンにそう思っているのは私だけだったようだ。テオは相変わらず真剣にロビンを見ていたし、リックでさえ顔を引き締めている。

 私たち五人は再び、白いキトの後ろを歩き始めた。

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